王子様を助けたら子供を授かり溺愛されてどこまでも追いかけてくる件

その夜マリアや騎士たちが帰って静かになった家でリビングのソファーに並んで座り、ルカと話をした。

「ルカ、このままここにいる訳にはいかないわ。それはルカもよくわかっているでしょう。私としては思い出した時にすぐに言ってくれなかった事は、悲しいわ」

「わかってる。ごめん。でもリーナに引かれたくなかったんだ。隣国の王子だなんて思ってもみなかっただろう?どうしていいかわからなかった。僕はここに居たいんだ。ここでの暮らしがとても温かくてリーナの隣は居心地がいいしあんな王宮なんかに帰りたくない。みんな自分の事しか考えてないし自分のために王族でも利用する事しか考えていないんだ。だから兄と弟が殺しあう事になってしまった。国王のせいでもある。放置していたんだから、でもそのおかげで僕はリーナに出会えた。それが一番の幸せだ。何物にも代えがたい」

「私もルカとここでずっと暮らしていたい。でもヨン様達の立場もあるよね。ずっと探していたとおっしゃっていたもの。きっとすごく苦労なさったのよ。私は王族や貴族になんかなれないしなりたくもないの。でもねルカを助けた時来ていた服や靴はすごく高級なものだったから、きっとすごくお金持ちの坊ちゃんか貴族だと思っていたんだ。まさか、王子様なんて思わなかったけど」

「リーナ、僕は父上に王位継承権を放棄して王家の籍からも抜いてもらって、何の爵位も地位もない一人の男としてここに帰ってくるから、待っていてくれる?時間がかかるかもしれないけど、なるべく早く帰ってこられるようにするから、ここで待っていてほしいんだ。きっときっと帰って来るよ。リーナやマリアとカフェや薬屋や野菜畑もやっていきたいんだ」

「わかったわ。一度帰らないとどうしようもないわね。あの騎士達はルカが帰ると言うまで毎日一日中外にいるよね。それも困るし…」

「そうだね、明日閉店後にヨンと話すよ。一人はリーナの護衛と僕の代わりにカフェを手伝うように残していくここにリーナ一人じゃ心配で仕方ない。マリアにもここに移ってもらえたらいいんだけど」

「マリアなら言えばすぐに移ってくれるわ。どっちにしてもあと2カ月ほどで今の所を出ないといけないらしいの。私達に遠慮してたのよ。邪魔しちゃいけないと思ったみたい、馬鹿ね」

「馬鹿じゃないさ。ありがたいよ。明日は寝かせてあげられないかもしれない。次の日は休みだからいいよね」

「もう、明後日帰るときは送っていかないからね。きっと泣いてしまうから、もう泣きそうなのに」

そう言ってサオリーナはルカに縋り付いて胸に顔をうずめて静かに涙を流した。

ルカもサオリーナを腕の中に抱きしめて自分の立場を呪った。なぜ王子なんだ。ただの貴族ならまだよかったのに…国王の顔を思い浮かべて、父上を説得するのは大変だと思ったが絶対に納得させてみせる。そしてここにサオリーナの隣に帰ってくるとルカは誓ったのだった。