王子様を助けたら子供を授かり溺愛されてどこまでも追いかけてくる件

マリアは先月孤児院を出たのに友人と二人で間借りするのだと言って結局この家に住むことがなくなって今でもルカとサオリーナの二人で暮らしている。休みの日は朝も昼も夜も二人で食べる。

ルカはずっとサオリーナの事が気になっているのを自覚していた。

今日は近くの林にサオリーナと二人で来ている。前に木に登って葉っぱと実を取ったシャリの木のある林だ。

もう冬も近いので葉っぱが落ちてしまう前に良い葉っぱを取っておきたいと言うサオリーナの希望で、二人で林まで歩いて行った。

ルカは木の上の方まで登って行った。なるべく赤い葉っぱを取ってこようとしたのだ。

前にサオリーナが葉っぱは赤い方が効果が高いと言っていたからだが、下でサオリーナは心配そうにおろおろしながらルカを見守っていた。

ルカは平気な顔をして木をから降りてきたのだが、

「もうルカ!あんなに天辺まで登って行って危ないじゃないの。上の方は枝も細くなってるし折れてしまうんじゃないかとひやひやしたんだからね」

とぷりぷり怒りながらいうサオリーナが可愛い。

「大丈夫だよ。高いところは平気なんだ。でも心配してくれてなんか嬉しいな」

そう言うとサオリーナの顔を覗き込んで、頬をするっとなぜた。サオリーナは真っ赤になって、目を大きく見開いていた。

サオリーナは美人というより可愛くて愛嬌のある顔をしている。だからなのか歳より若く見えるようだ。

大きな目とコロコロと表情が変わる顔は見ていて飽きない。頬骨が高く涙袋のある大きな目が一番特徴的だが、ぽってりとした唇は色っぽくて口づけたくなってしまう。

大人の女と純粋でかわいい少女が同居しているようなアンバランスな所が魅力的だ。

ルカはいまだに記憶を取り戻せていないが、断片的に色々な場面が脳裏に浮かぶことがあるが、それらが繋がっていかないのだ。

でも今の暮らしが楽しくてサオリーナの隣は居心地がよくて、もう思い出せなくてもいいと思っているのだ。

この場所であの家でリコーニカフェを、サオリーナを助けてやっていけるのがルカの最高の幸せだ。

今までこんなに充実した生活はきっとした事がないと思う。

いつかサオリーナにこの気持ちを伝えたいと思っている。そして彼女の側にずっといられればいいと思わずにいられない。

サオリーナに助けられてからの日々は、ルカにとって温かい光にあふれた幸せな時間だったのだ。

その幸せを逃したくないと思ってしまう。自分は欲が深いのかもしれない。でもサオリーナへの気持ちに蓋をするのがだんだん難しくなってきている。