王子様を助けたら子供を授かり溺愛されてどこまでも追いかけてくる件

ぽかんと沙織を見つめていた老夫婦は、はっとすると沙織に駆け寄って来て

「お嬢ちゃん、今天から降って来たみたいだけど…どこも痛くない?怪我はしてない?」

と言いながらお婆さんは沙織の体を優しく撫でながら心配そうに聞いてきた。どうやら言葉は分かるようだ。

「うん、大丈夫。でもお腹減った。私はさおりって言うの、今8歳なの」

沙織は随分可愛い声が出たことにちょっと引きつつも、老夫婦にニコッと笑いかけた。

「そうかそうか、さてどこから落っこちてきたのかな。家族の人はどこにいるのかわかるかな?」

と今度はお爺さんが、沙織に優しく目線を合わせるように屈みこんで聞いてきた。

「う~ん、その辺はよくわかんない。きっとここじゃない違う世界から来たと思う」

沙織は詳しくは話さずに濁しておいた。老夫婦が信じてくれるかもわからずややこしい事になるかもしれないのでとぼけておくことにした。

8歳の子供らしく小首をかしげてあざと可愛い仕草で老夫婦の母性と父性に訴えてみた。

とにかくこの世界には誰一人頼る人もいないのだ。その上自分はまだ8歳。

この老夫婦に助けてもらわなければこの世界で生きてはいけないだろう。

川辺沙織としての記憶はちゃんと残っているものの、実際は8歳の女の子なのだ。

持っている物はタオルのハンカチが一枚だけ、すでにお腹が食べ物を寄こせと言ってぐるぐると音を立てている。

突然8歳の女の子にしてこの世界に放り込んで神様は一体何を考えているんだろう。神様がいるのならだが…

沙織はそんなに信心深くはない。でも2日間ずぼらに怠惰に過ごすつもりだったのに計画も台無しだ。

この世界に送り込んだ奴を恨んでやる~~~。