王子様を助けたら子供を授かり溺愛されてどこまでも追いかけてくる件

ルカは自分の格好を改めてみたら、シャツは羽織っているだけで前は素肌をさらしてしまっている。

自分の着ていたシャツはどうしたのだろうと思いながらもサオリーナに言われたようにシャツを着替えた。

そう言えば昨日目が覚めた時、彼女は何か縫物をしていたようだ。これを作ってくれていたんだ。 

ルカは改めて部屋を見まわした。ベットが二つ並んでいるので夫婦の寝室に違いない。サオリーナがよく言う爺ちゃんたちの部屋なのだろう。

ルカはシャツを着替えながら自分の事について思い出そうとしてみたが、頭の中に霞がかかったみたいで、ルカと呼ばれていた事、正確にはルカ様や殿下だったようなのだが、定かではない。

ただ背中を切り付けられた痛みとその後崖の下の川に落ちて流されていく感触は覚えていた。

気を失ったら死んでしまうと言う恐怖からとにかく流れに身をまかせながら、流木を見つけてそれに取りすがった事までは覚えているのだが、その時までずきずきと気が遠くなりそうなほどの痛みを覚えていた背中の傷は今は痛みもしないしそこに存在もしていないようなのだ。

この事もサオリーナに確認しなければと考えていたら、食事ができたと言う声がしたので、起き上がったら少しふらついたが、しばらくしたらシャンと背筋が伸びたので、ドアを開けてダイニングと思しき部屋のドアを開けた。

自分のいる部屋の前は廊下になっていて。左手に階段があるその横にトイレがあって、部屋の目の前にもドアがある。そこがリビングやダイニングに続いているのだろう。

階段の反対側の突き当りにもドアがある。そこは何かは分からないが、初めての家でそれも助けてもらった人の家を勝手に見て歩くわけにもいかない。

取り敢えず目の前のドアを開けて中に入った。

そこはやはりリビングのようでソファーが置いてあった。その奥がダイニングとキッチンになっている広い空間だった。

ダイニングのテーブルに美味しそうな料理が並び二人の女性がキッチンで立ち働いていた。

サオリーナに”椅子に座っていて”と言われたので、料理が並ぶダイニングテーブルの前の椅子に腰かけた。