「…新田うるさい、まじしつこい」
そろそろ限界かもと思っていた矢先、ようやく柊くんが柚くんに声をかけ、制服の襟元を後ろへと引っ張った。
「いたた!引っ張んなよ!てかまつりちゃん反応が面白い〜!またお話しようね?てか2年は同じクラスになれるといいね?」
「あー、はは…」
それはご勘弁いただきたい…なんて思いながら、合わせて笑う。
「森野、いこ」
「あっ、うん」
そんな柚くんを尻目に柊くんはまた淡々と歩き出した。
学校の玄関を出ると、冷たい風が頬を容赦なく撫でた。首元に巻いた白色のマフラーに顔を埋める。
もうすぐ2年生になるのに、今日が二人で帰る初めての日なんて。…確かに、よく考えてみれば、というかよく考えなくても、これってなかなか珍しいよね。千春が頭を抱えるのもよく分かる。
校門を出れば、少し人気も引いたので、私は少し小走りをして柊くんの隣に並んだ。
けれど、何を話していいかわからず、ただ無言の時間が流れる。この空気、冷たい風よりも突き刺してくる…。
なんとか話題を、と思い、さっきの柚くんの事を出してみることにした。
「柊くん、柚くんとは仲良いの?」
「まぁ」
「そっか…なんか、めちゃくちゃ距離ちかくてちょっとビックリした!皆にもあんな感じなの〜?」
ヘラヘラと笑いながらそう言うと、柊くんはまたしても「まぁ」と返事をした。



