遠目からでもわかるその姿は誰が見ても見とれてしまうと思う。サラサラの黒髪は清潔感で溢れていて、目に少しかかる前髪がとてつもなく色っぽい。スッと鼻筋の通った高い鼻と切れ長で上品な目元。完璧なパーツが小さな顔にバランスよく配置されていて、まるでひとつの作品のよう。
そんな人がなぜ、私なんぞとお付き合いを……。
謎すぎて、謎になってきた。実に不思議。
そんな事を考えながら、無意識に柊くんを目で追っている最中、不本意に視線が交じりあった。どきり、と心臓が音を立てる。顔が熱を持ち始めたのがわかった。とっとと目を逸らしたい、でもここでプイッとしては感じが悪い。
「…よっす」
片手を上げて、ようやく絞り出せたのがこれ。え、やばい、可愛く無さすぎて消えたい。
「…はよ」
そんな聞かれなくてもよかった声は柊くんに届いてしまっていたらしく、ぶっきらぼうな物言いで返された。
少しの気まずさを感じて、そそくさと体の向きを前に戻すと、千春が急に私の腕を引っ張り人気の少ない廊下へと連れ出した。
「まつり、柊くんと付き合ってどのくらい?」
「…えっと、もう3ヶ月くらいは経ってる…と思う…」
そう言った途端、千春は大げさに頭を抱え始めた。
「そんなんじゃだめよ…なにあのぎこちない挨拶…柊くん人気だって知ってるよね?もっとちゃんと仲良しアピールしとかなきゃ取られちゃうよ!?」
「そ、それはそうだけど…」
柊くんに迷惑かけたくないし、めんどくさいって思われたくないしな…。
「てかちょっと改めて確認させて。…デートしたことは?」
「ない」
「一緒に帰ったことはあるでしょ?」
「……ない」
「嘘…健全を極めすぎてるわ」
またしても千春は大袈裟に頭を抱えて見せたかと思えば、急に私の両肩を強く掴んだ。
「決めた。今日は柊くんと一緒に帰りなさい!ノー部活デーなんだし!丁度いい!はい!決まり!誘いなさい!」
「え、むり!!!!!」



