それはまるで、私が死んだことがあるような言い方。
繰り返し。今回も失敗した。そこからわかるのは。
「ループしているのね。」
「そう。何度となく繰り返し、やっと見つけたこの像。これが最後のアイテムの隠し場所。さぁ、君はどうする?ロレイン。」
レジェスは私を背に回し、誰もいない場所を睨む。
すると人影が生じ。
「心配しないでよ。お父さんは死ななかった。君だろ、レジェス先生。おかげで、今回の生活に苦労はなかった。家族は無事。だから勇者が変わったのかもしれない。ジークハルトの決意が時を変えたのも一因かな。……さて、どうするか。俺の探していた魂。魔王が持っているとばかり思っていたけれど。こんなところにあったとはね。今回、勇者になって王城に入ったのに気づかないわけだ。」
敵意は感じられない。
けれど、違う未来で私はロレインに殺されたのだろう。
あの火災で、ロレインの家族を殺してしまったのだ。
「ロレイン。回避されたとはいえ、私の魔法があなたの家族を奪った未来が存在するなら。私は許されていいとは思わない。」
「うん、だから殺した。君を炎で。」
あぁ、自分が包まれる炎の記憶。
それは潜在的に刻まれた恐怖。
「オリアンヌがまだ幼いから、時を巻き戻してやり直したいんだよね。どうせなら、魔王討伐に全員を揃えて。この世界の終わり。消滅を。」
「どうして!何の為にやり直すの?消滅って。未来を回避するために、ループしてるんじゃないの?」
「いや、ループさせているのはゲームでいう悪役令嬢エルティナだよ。」
今の状況も把握できないのに。
ゲームとは違う設定に、多くの情報。未来回避のためのループではなく。それは。
「簡単に殺せば終わるかと、手を出した途端に巻き戻し。彼女の死がループのスイッチになっているみたいだね。」
「それって、今からエルティナを殺すってこと?」
「あー、それもありと言えばありなんだけどね。君も分かる通り、今回の元凶ジークハルトをどうにかしないといけないかな。……だろ?」
そう言って、後方に数回ジャンプして。素早い移動。
そのいた場所に、矢が3本刺さる。
「悪かったって。俺だって、探していた彼女を見つけて舞い上がったのが今回に影響が出るなど分からんよ。それもさ、隠していたのは、オリアンヌだからな。お前を殺せば、もう全て解決じゃね?」
弓矢を構え、殺気立ったままのジークハルト。
依頼を一人で受けて、行ったのだとばかり。
「魔王は別にいるんだぜ?俺を殺したからと言って、解決ってわけでもないだろ。……しかし、俺を追って転生とか悪趣味だな。」
ジークハルトの手には黒い星形のアイテム。
それが発動し。私達は繰り返す。
to be continued
