『女神の加護を 受けし者は世界を救う』


私の対。ガーネット。
どんな事があっても、あなたは私が守る。
だからこの世界も救わないと、あなたを守ったことにならないから。
あなたが望むのが死であっても。生きてもらう。
それが私の願いだから……

双子。それはこの世界ではとても珍しい事。
母さんは命懸けで私たちを産んだ。
それも女神レイラリュシエンヌ様の加護だと、両親は事ごとに告げ。
それなのに姉、ガーネットに聖女の適性が無いと分かれば。
存在を消したかのような扱い。

「姉さん、教会に行こう。」
お昼に、幼少の子ども達は教会に集まる。
お昼のパンと飲み物をもらい、食事の後は年齢によって分けられて読み聞かせ・読み書き・計算を学ぶ。
学園に入る前には、一通りの職業に触れる。
魔法が使えない者もいるから。
姉さんは覚えていない。私から魔法を奪ったこと。
適性が無いんじゃない。神殿の神官たちの方が未来を知っていた。
そう私に適性があるなら、双子の姉に何らかの能力があるかもしれないと。
可能性を否定しなかった。
誰にも知られず、私だけが知る。
私の魔法を奪ったどころか、聖女や魔法使いマリーとも違う適性。それは。

「オリアンヌ、行くわよ。ほら。」
差し出された手、私はその手を握りしめ。
引かれるまま、後を付いて行く。
彼女を守らなければ。死なせはしない。
ふと気づく。
「ガーネット、サボリはいけない。今日は読み書きの方、こっちは何もない。」
連れられるのはいいのだけど。
時に。いや多々、向かう場所が違うのだ。それも意図的に。
「え?ダメ?天気がいいし、川の魚が食べたいわ。」
さっき配られたパンを食べたのに。
お腹はいっぱい。双子じゃなくても分かる事。それでも。
「行く。」
適性とは何だろうか。聖女とは。

ガーネットは川に近づき、水に触れた。
無意識だろう。その辺りから一面に広がる浄化の魔法。
視えるのは私だけ。
今、神殿で適性を調べたとして、それは果たして。
私には分かる。
適性はあるけれど、聖女ではない。
彼女を守っているのが女神レイラリュシエンヌ様の加護であるなら。それは。
「オリアンヌ、来なさいよ。一緒に魚を捕って食べましょう。」
本当に食べるんだ。私は、そう思った。
あぁ、魔力を使うからか私より消化が早いのかもしれない。
ならば。同量どころか、両親から不遇の扱いで。
私の見ていない時、彼女はお腹を満たせているのだろうか。
気づくのは遅かったのだろうか、いや。まだ能力を奪われたばかり。
魔力操作を覚えれば。無意識で使って消費するのを抑えなければ。