どこか浮遊するような、目が回るような違和感。
意識の朦朧とする中、目を開いて見えたのは白いシーツ。
私は寝ていたようだけど。
自分の部屋でも家でもない。
病院?ではないよね、薬品の匂いがしない。
体に痛みはない。
学校の保健室で、このシーツの管理や維持は無理よね。
手触りの良い……
そこで意識がはっきりと。
身を起こして、周りを見渡す。
まるでお城の中の一室。
日本家屋にはない広さと、大きな窓に高級な家具。
ベッドもシングルではない大きさ。
ここはどこ?
まさかこれが。異世界転生?
洋風だから、外国の過去の可能性も。
転移?どこに。何故。
最後の記憶は、両親と弟妹が珍しく揃った夕食。
部屋でいつものように眠った。
これは夢?
両頬を勢いよく手で挟むように叩く。
衝撃音が耳に響き、頬は痛みが生じて熱を発した。
「痛い。」
その音が発端なのか、ドアにノック音。
「失礼します。」
相手の言葉が分かる。
けれど入ってきたのは、異国の外見をした女性。
色白く、髪色は茶色で目は青い。
きっと個人差はあるのだろうけど。
「リセ様、お目覚めになって驚いていると思いますが。王がお待ちです。準備をお手伝い致しますので。」
王。いきなりだな。
言葉が所々、違和感があるのは翻訳の関係か何かだろうか。
理解できるように、私の語彙力に合わせているのかもしれない?
それにしても何故、私の名前を知っているのだろうか。
ベッドを降り、自分がパジャマ姿なのを確認し、やはり一日を終えて普通に寝た後のことなのだと思う。
痛みはあった。夢ではない。
疑問は頭一杯。
私の身の回りを忙しく動き回っている彼女に、手足を止めてもらうこともできず。
自分一人では着られない形のドレス。
こんな体験、二度と出来ないだろうな。
手触り良く、レースが幾重にも縫製されて。
髪を結い、顔にほんのり化粧をされて。
香水なのか上品な香り。
特別な何者かになったような気分にさせる。
身支度を終え、案内されるまま歩き。
王って言っていたから、お城なんだろうな。
長い廊下に塵一つなく。
外からの光。
太陽みたいなのがあるんだよね?
寝るベッドがあるってことは夜があって、睡眠をとるわけで。
