事故は突然だった。



僕は粉雪さんにミルクティーを買って、粉雪さんのところに戻ったら、嘘のような光景が目に入った。



さっきまで幸せな雰囲気で覆われていて、彼女が顔を赤らめながら僕を待っていたところに、古いのに硬そうで、人の1人分くらい大きい倉庫のようなものが崩れていた。



周りを見渡したが、粉雪さんはいなかった。



まさかとは思ったが、さっき粉雪さんが使っていたリップクリームが崩れた倉庫の近くに転がり落ちていた。



凪紗はこの下に、事故に巻き込まれたんだ。と思うと、涙が頬を伝った。



「凪紗…凪紗ー!!」



涙と共に、不意に呼んでしまった。彼女の名を。



僕はすぐに救急車を呼んだため、5分くらいで到着した。



僕は落ちていた彼女のリップクリームを握りながら、救命士が崩れた倉庫の中から探すのを見守っていた。



そんな作業が始まりすぐに、彼女は見つかった。



彼女の整っていて可愛い顔には大きな傷が負われていた。



顔の他にも身体には荒々しい傷が目立ったていた。



もうこれ以上は傷ついた彼女を見たくない。



僕のせいだ。



1人で待たせてしまってこうなったのだから。せっかく付き合ったばかりだったのに1人にさせて…2人で行けば良かったかもしれない。



しばらくして彼女は救急車に乗った。僕も付き添いで乗った。



彼女はかすかに呼吸をしていた。だが、とても辛そうな感じ。



さらにしばらくして粉雪さんのお母さんが来た。もう夜の8時を回っているのでお母さんに「今日は家に帰って、また凪の様子を見に来てくれるかな。」と言われた。



ちゃんと人の事も考えてくれるなんて、思いやりのあるお母さんだなぁ。と思った。



ー 次の日 ー



僕は起きてすぐに支度して病院に向かった。幸い、病院が家から近かったのですぐに行ける。



病院についた。僕は走らない程度に早く病室に向かった。



ー ガララッ ー



彼女は昨日よりは落ち着いた様子で眠っていた。呼吸も呼吸器があるし、だいぶ楽そう。本当に良かった。



朝の病院のせいか周りには人が誰もいなくて、しんとしている。



彼女の顔を覗き込んでみた。本当に美しい。顔のパーツは1つ1つ綺麗でバランスがよく、まるでプリンセスのようだ。



僕は呼吸を1秒止め、彼女の唇に触れた。



少し離れて目を開けると、信じられないくらいに心臓がドキドキした。



だが、また彼女の美顔に引き込まれ、じっと見つめてしまった。



そのときだった。



「んー…」



!?



彼女はゆっくりと目を開けた。



「凪紗!!大丈夫!!??」



「…辻本くん??」



「なんで辻本くんがここにいるの? ていうか、今私のこと凪紗って言った??友達なのに馴れ馴れしいよ〜ww辻本くんって面白いね!」



「え、?」



あれ、粉雪さん…?僕を覚えてない…??ていうか話すの早っ



そのとき、病室のドアがガラガラっとあいた。そこには若くて、爽やかで、イケメンで、でも手術は上手そうなドラマにいそうなタイプの先生がいた。(決めつけ)



「粉雪さん、目を覚ましたんですね。」



と、先生が言う。



「えっと…」



「あ、僕付き添いの辻本 楓と申します。」



「なるほどね。よろしく。」



先生の横にいた看護師さんが粉雪さんの体調を確かめた。



「楓くん。ちょっと来てくれないか。」



「?。はい」



先生は深刻そうな顔をしながら僕を廊下へ連れ出した。



「先生質問なんですけど、粉雪さんの様子がおかしいんです。僕のこと、恋人ってこと忘れてるみたいで。」



あ、恋人って言っちゃった。



「やっぱり恋人なのか。」



先生は少しニヤけながら言った。



「そのことなんだが…粉雪さんは頭の打ちどころが微妙に悪くて、1部の記憶を忘れている可能性があると診断したんだ。」



「え、じゃあ…」



「原因はそれだな。」



…これ以上の悲しみがあるか。



「先生!彼女はどうしたら僕を思い出してくれるんですか!?」



「うーん。僕はあまり詳しくないけれど、やっぱり1番は彼女に自分を知ってもらうことかな。無理して思い出させるよりゆっくり思い出を積み重ねることで君との強い思い出を思い出すだろう。」



「それか、これから思いでを作るとかかな。」



「…はいっ」



「ただ、命に別状はないから安心して。」



安心してと言われてもなぁ