[わりぃ、寝坊した…。]

「はぁ?!あんた、昨日さんざん言っといたのになんで寝過ごすわけ?!!」

麻由が携帯電話片手に怒鳴る。今起きました、みたいな声が横にいる私にもかすかに聞こえた。修司は麻由の怒り心頭を目の前にして、2分程度の遅刻で本当によかったと思っているだろう。顔が真っ青だ。

なんで麻由が桂のケー番知ってるんだろう。謎だ。

「まぁいいわっ。あやこを待たせとくから、10分で来なさいよ?わかったわねっ。」

「ちょっ」

私にも桂にも何も言わせない麻由は、一方的に電話を切ってしまった。

「なんで私が待たなきゃいけないのさ。」

「あやこ、桂と仲いいんでしょ?」

「違うし!」

「修司には荷物持たせないといけないからさ。桂来たら連絡してね。待機よろしくっ!」

強引な麻由は修司の腰を思いっきり叩きながら大型スーパーの中へ消えてしまった。

一人ぽつんと残された私。

周りを見渡せば、休日ということもあってカップルやら家族連れやらで混雑している。

…30分しても来なかったら帰ろう。

そう決意した私は、近くにあった植え込みを囲むブロックに座り、桂を待つことにした。