狼少年


「へー…そんなことがあったんぁ。マジウケる〜」

「笑いごとじゃないよ、まったく…。」

麻由がケラケラと笑いながらメイクを直してるのを、じっとりと睨む。

化粧なんてしなくても麻由はかわいいのにね。

どうせまた放課後にでも彼氏とデートするんだろう。

「でもさぁ?…」

「なに?」

何かを言いかけた麻由は、その言葉を無理やりとめた。

「いや、なんでもなーい。あー遠足楽しみっ♪」

何かを企んでるような、意地悪そうな顔をして。しかも変に話題を変えやがった。

「なにさ。気になるじゃん。」

「まぁ、そのうちわかるよ。」

そう答えるだけで、麻由は何も語ろうとしない。