好きになっちゃだめなのに⁈〜極甘御曹司に溺愛されて困ってます〜

待ち合わせ場所はT駅だ…



車で迎えに来てくれるとのことで、ドキドキした気持ちが治らず、どう気持ちを持って行ったら良いのかと悩んでしまう…



取り敢えず平静を保とうと息を精いっぱいに吸い込んで深呼吸をしてみるけど、逆に息を精一杯吸い込みすぎてしまって苦しくなってしまった…



自分の余裕のなさが何とも悲しい…



ここにくる前にお母さんや2つ歳の離れた双子の弟達から怪しみの目を向けられて気まずかった…



「そんなにめかしこんでどこにお出かけ⁇」



お母さんからニヤついたいやらしい目で訊ねられ、「か、奏美とちょっと高級なフレンチのお店に行くの」と苦しい嘘を付き、その場を逃れた…



私には2つ離れた双子の弟達がいる…



陸と海《りくとうみ》と言い、私の名前である美空と合わせると、空、陸、海の全てが揃うと言う林野家の子供達の分かりやすい名前事情だ⁈



両親自慢の名前であり、私達もこの名前が気に入っている…



陸と海はもう23の為、それぞれちゃんと就職し、まだ結婚こそしていないが、ちゃんと家にお金を入れて家計を支えている…



そんな双子の弟達も、私のいつにないめかしこんだ装いを見て絶対に何かあると怪しんでいた…



「姉ちゃんももういい歳なんだから彼氏くらいできるよな。デート楽しんで来てねー」



ニヤニヤとした顔をして私に手を振る弟達は仕草まで2人シンクロしている…



明らかに誤解をしている弟達を尻目に私はそそくさと逃げるように家を出た…



弟達が怪しむのも無理はない…



今日の私はいつにないめかし込み用なのだ…



あの超絶イケメンの高城グループの御曹司である高城さんとデートするのに、この前のようなラフすぎる酷い格好でデートに望む訳には行かないと、今日ばかりは私も気合を入れてめかしこんだ…



フリルの長袖ワンピースに上にトレンチコートを羽織り、少しヒールの高いパンプスを履いて、耳にイヤリング、普段は薄化粧で殆ど化粧っ気のない素顔にアイライン、マスカラ、チーク、真っ赤なボルドーの口紅に艶出しのグロスも塗ってみた…



めかしこまなければ、高城さんみたいな高潔な紳士に私みたいな平凡な何もない女は釣り合わない…



少しでも彼に釣り合う女性になりたい…



そう意気込んだものの、自分のめかしこんだ姿を家族に晒すのは流石に恥ずかしい…



隠すように顔を覆いながらよそよそしく急いで家を出るつもりだったのに、いとも簡単に母や弟達に見つかってしまった…



完全に怪しまれているこの状況に気まずさを感じながらも、私は早く行かなければと家族を尻目に足を早めた…