「いったん黙ろうか」
「「「「…………」」」」
奏斗くんの発した一言で四人は一瞬にして沈黙した。
奏斗くんは、すっっっっごぉぉぉ~~くモテる。
ビジュアルが俳優さん並みに整っているだけでなく、
うちの学校の理事長先生の息子さんでもある。
うん、モテる要素しかない。
わたしのことを気にかけてくれた奏斗くんには悪いけど、
誤解で妬みを買いたくない。
「……えっと冗談、だよね?
そうだよね、うん。
あのね、わたしがお願いしたいのは彼氏の〝ふり〟をしてくれる人で……。
あ、ほら、蓬莱くん忙しそうだし! この話は忘れて!」
佐藤くんとの会話に戻ろうと顔を戻すと、肩をトンと叩かれた。
「そんなこと言わずにさ。
俺にも話を聞かせてよ。
もしかしたら俺のほうが力になれるかもしれないだろ」
「来栖くん。
僕より蓬莱の方が向いてる話だと思うし、
蓬莱にも相談したらどうかな?」
佐藤くん、空気を読んで。
見なくても分かる。
背中に女の子たちからの憎しみの視線がつきささっている。
たぶん奏斗くんと一緒にいた四人だけじゃなくて、
奏斗くんを好きなクラスメイトたちの分もある。
「わたしは佐藤くんにお願いしようと……」
「いやいやいや!
僕よりも蓬莱の方が適任なのは間違いないって! ね! ね!」
にっこり笑顔を浮かべた佐藤くんの圧力に思わずたじろぎそうになる。
佐藤くんから『引けない』って圧力を感じた。
……あ、佐藤くんのこめかみから汗が。
……もしかして冷や汗?
佐藤くんにも何か事情があるのかも。
「えー、来栖くんの彼氏なら佐藤くんの方がお似合いだって!」
「そうそう。だって来栖さんだよー」
「てか来栖さんと奏斗くんが並んでたってカレカノに見えないし」
「たしかにー。つり合い取れてなさすぎてふりすら無理っしょ」
女の子たちが、奏斗くんに彼氏のふりをさせまいと口を挟んでくる。
でも今に限って言えばわたしも彼女たちと同意見だ。
だって……みんなには内緒だけど、
実のところわたしは奏斗くん専属のメイドをしている。


