祇園の石畳に、提灯の灯りが揺れる。夜の帳が下りた古都の街は、昼間とはまた違った風情を醸し出していた。
「はぁ...京都の夜って、本当に風情があるわね...。」
美亜は、しっとりとした空気に包まれながらため息をついた。
「うふふ、見て見て、美亜ちゃん!あそこに、可愛いカエルさんがいるよ!」
その時、明里の声が響き、美亜の感傷的なムードは一瞬で吹き飛んだ。
「え?どこに?」
美亜が指差された方を見ると、確かに石畳の隙間から一匹の小さなカエルが顔を覗かせている。
「ほら、可愛い!この子、きっと私に話しかけてるんだよ!」
明里はカエルの元に駆け寄ると、どこからともなくつまようじを取り出し、カエルの背中をちょんちょんとつつき始めた。
「明里!やめなさい!夜の祇園でカエルをつつくな!それに、カエルが明里に話しかけるわけないでしょ!」
美亜は慌てて明里を引き剥がそうとするが、明里は楽しそうに笑っている。
「だってこの子、すごく元気だよ!ほら、ピョンって跳ねた!」
「それは、つつかれたから驚いてるだけよ!やめなさいってば、もう!!」
美亜の必死のツッコミも、明里には届かない。



