「私が思うにさ」と彼女がチューハイを一口飲んだ。
「悲劇の後に、ヒーローなんて言われても、本人、嬉しくないと思うんだよね。清兵衛が伝えたかったのって、神社を作って、祀ってもらうことじゃなくて、自分は何も間違っていないってことを、知ってもらいたかっただけなのかなって。不条理を許せなくて、そんなことを繰り返していると、こういうことになるぞっていうのを、戒めとして、知ってもらいたかったんじゃないかなって。それを、ただの恨みの一つで片付けて、周りは恐怖のために、安寧を求めるために、すがったんだよ。つまり、恐怖政治みたいなことになっちゃっただけなんだよ」
「そうかな」と僕は発泡酒を飲み干した。
「人はそんなに出来たものじゃないからね。悔しいって気持ちとか、こいつ許せないって気持ちは、まったくなかったってことはないと思う。キミは、人ってものを、お高く見過ぎだと思う。そう思いたいのは、勝手だけど、表面的な部分だけで人を見るのは、良くないと思う」
「だからって、キミみたいに、人の可能性を信じられないような考え方をもって生きていくような人にはなりたくないわね。キミの生き方は、私、嫌い」
「僕もキミの生き方が嫌いだ」



