「和霊神社のさ」と、彼女は夕飯の豚の角煮を食べながら言った。
「悲劇のヒーローを祀った場所なんだよ」
「悲劇のヒーロー?」
「そう。宇和島藩の初代藩主、伊達秀宗の家老で、山家清兵衛っていう、すごい優秀な人がいたの」
「伊達って、あの伊達政宗と何か関係があるの?」
「関係も何も、伊達政宗の子供だよ。まあでも、正室の子供ではないんだけど」
「それで、その、やんべ、何とかがどうしたの?」
「あ。で、その清兵衛はあまりにも優秀で、他の家老たちから妬まれちゃうの。無実の罪とか着せられちゃったりしてね」
「それで、暗殺された、みたいなこと?」
「知ってるの?」
「いや、話の脈絡上、そうかなって」
と僕は、豚の角煮を発泡酒で流し込んだ。
「清兵衛が死んだ後、暗殺にかかわった人たちが、次々に不運な死に方をしちゃうの。落雷とか、海難事故とかでね。人々はそれを清兵衛の祟りと恐れて、清兵衛の霊を鎮めるために、和霊神社を建てたんだって」



