「何を描いているんですか?」


「内緒」


彼女は、僕にそう言った。彼女のタブレットを覗こうとすると、彼女は胸に当てて隠し、僕をその釣り上がった目でキッと睨んだ。まるで野良猫のような彼女は、僕がいることを迷惑そうにしながらも、僕がトイレに行こうと立ち上がると、描く手を止めて、僕を目で追い、トイレに帰ってくる姿が見えるまで、ずっとそうしているらしかった。


僕は鼻炎持ちだった。僕がくしゃみをすると、彼女は決まって、


「Bless you(神のご加護を)」


と言った。僕はそれに、「Thank you,too」と返すこともあれば、「I love you」と返すこともあった。彼女は僕の返しに少しだけ笑った。でも、それからすぐに興味を失ったように、絵を描く作業に戻るのだった。