彼女の家でカレーを食べた翌朝、ホテルで朝食を済ませると、自室で小説を書いた。2時間で3000文字超を書き、ベッドで少し寝転んで、テレビを見て、ミュージックサイレンが『とんび』になった頃に、外へ出た。


コンビニでおにぎり2個とお茶を買い、和霊公園の東屋に座って食べた。相変わらず子連れや老人たちのたまり場のような風景を見ながら食べるおにぎりは、どこか味気ない。いい歳をして、僕は定職らしい定職に就いていなかった。小説家になると決めて、都内の大学へ進学し、周りが就活をする中、僕はただひたすらに小説を書き、新人賞に応募しまくった。ほとんどが1次選考で落ち、良くても2次選考留まりだった。そうしてずるずると、実家が金持ちなのをいいことに、親のすねをかじり続け、こうして今も、和霊の地でホテル暮らしをしている。周りは希望と、現実と、軌跡を胸にしっかり仕舞って、こうして呑気にたまっている。何も持たずに呑気に東屋で一人、おにぎりを食べている僕とは、いる時限が違う。


おにぎりを早々に食べ終わった僕は、持ってきたワープロ(電池式の小さなものだ)で小説の続きを書いた。途中、東屋の近くを通りかかった老婆に、「こんなところでお仕事したら、ええ気持ちやろう」と声をかけられた。「そうですね。今日は比較的暖かいですし」、「ねぇ~今日はあったかいわ」という会話をした。


『ふるさと』が流れ、日が暮れて、彼女が東屋に来た。