彼女も僕と同じなんじゃないかと思う。価値観の違いとか、そういうもので衝突しても、それらは可愛い議論で、本質的な部分で繋がっている。僕たちはもうすっかり成熟した大人で、一つの出会いを、そんなつまらないことで失うことの無残さを、嫌というほど学んできた。何か決定的に違うところは、僕たちの間にきっとある。だからと言って、本能で好きになった彼女を嫌いになるなんて、馬鹿げている。彼女の目が、僕に改めてそう気づかせてくれたのだ。
彼女はまたスキップのような歩みで石段を駆け下りた。僕も後に続く。彼女の通った周りの景色が、ゆっくりと、ぐにゃんと歪んで見えた。焦点が、他の無駄なものを速やかに排除し、彼女の背中一点だけを捉えたからだった。胸が高鳴る。いつぶりの高鳴りだろうか。ずいぶん前、初めての恋、初めての告白、初めての失恋。その時の高鳴りが、今まさに目覚めて、僕を鼓舞する。
彼女が、彼女こそが、僕にとって最愛の人になる。
これから僕は彼女の家に行く。カレーを食べる。お風呂を借りて、その後はどうなるのだろうか。本能のままでいい。本能に身を任せ、僕はすべてを受け入れる。彼女の横顔が見えた。頬が少し赤みを帯びていた。それを見て、僕もまた紅潮する。間違いない! これを人は恋と呼ぶ。
和霊神社を背に、僕は、僕たちは、夜を迎える準備に入った。



