彼女の煙草の灰が、長く、足元に落ちた。芋虫のゾンビの成れの果てようで気持ち悪い。途端に、煙草の匂いが、犬の糞のように思えて不快。今すぐこの場を立ち去りたかったが、何かこの女が後を引くような、モヤモヤした嫌味なことを言ってからがよかった。必死に考える、頭を巡らせる。思いつく限りの罵詈雑言を思い浮かべた。しかし、そのどれもがすべて浄化される。


この女の目だ。女の目を見ると、すぐに何もかもが、元の、昨夜東屋で出会った頃の彼女に戻ってしまう。


彼女が2本目の煙草をスタンド灰皿に投げ入れた。その時、ミュージックサイレンの『ふるさと』が18時を告げた。


「夕飯。今日、カレーを作ろうと思うんだけど」


「いいですね。好きです、カレー」


「じゃあ、食べに来る?」


「行きます」