シロツメクサをじっくり観察する。時々、指で触れて葉っぱの枚数が違うと、すぐに次へ。そしてまた指で触れて、次への繰り返し。


まるで恋愛のようだと思った。大勢の行き交う人たち。その中で目当ての人を探す。この人だ! と思った人に声をかける。断られたり、やっぱり自分には合わないなと、別れ、また見つける。でも、僕の過去の恋愛はここまで丁寧に探してなかった。一目で違うと思えば、また次。触ることもせず、四つ葉のクローバーかどうか、確信しないまま、次へ。気が付けば30歳になっていた。いろんな可能性の芽を踏みつぶして、歳を重ねていた。


横目で、彼女を見た。彼女の目は真剣で、でも少し楽しんでいるようにも見えた。時折、「あ! ……ああ」と一喜一憂する。彼女はすでに3本の四つ葉のクローバーを探していた。僕も負けじと集中して探すが、なかなか見つけられない。もしかすると、彼女がもう探しつくしたところを探しているから見つからないだけかもしれないが、それにしてもここまで見つからないのは、運に見放されている証なのかもしれないと、嫌でも考えてしまう。


シロツメクサの分だけ、恋愛運。


「どうしたの?」と彼女が手を止めている僕に気づいて言った。


「お腹でも痛い?」


「いや、どちらかと言うと、心が痛い」


「心? 草木に対して痛めてるの?」


「僕はそんなに崇高な人間じゃない」


「じゃあ、キミの心が痛い理由は、他にあるんだね」そう言って、彼女は立ち上がって、僕に手を差し伸べた。


「いいところに連れて行ってあげる」