太鼓橋の真ん前の道路を渡ると、和霊神社の大きな鳥居があって、くぐれば和霊公園がある。小さな遊具があり、大きな誰かもわからない銅像や、宇和島空襲の戦没者の慰霊碑なんかがあった。その慰霊碑のすぐそばで、東屋に一人、タブレット端末を片手に、電子ペンを走らせる女性がいた。僕はスウェット姿で来てしまったことに多少後悔しながらも、東屋に近づき、声をかけた。


「何を描いているんですか?」


女性は僕には一瞥もくれず、電子ペンを走らせていた。タブレット端末を覗き見ると、4コマ漫画を描いているようだった。西原理恵子氏のタッチを思わせるポップなキャラクターが、お腹を出しながらポテチを食べていた。上手い。


「もしかして、プロの方ですか?」


やはり女性は何も言ってはくれない。でも僕は、この女性に妙に興味を持った。


僕は東屋の角に座って、女性を正面から見た。黒く艶のある長い髪に、やや釣り上がった目、真っすぐに通った鼻筋、貧相に真横に引かれた口。そのすべてが主張しすぎず、控えることなく、調和している。タブレットの光に照らされた真剣な表情が、青白く、見る人の心境によっては、この世に恨みを抱いて亡くなった怨念のようにも思える。


なんて美しいんだろう、と思った。