クリスマスの約束



 五日前学校で。

 「明美ちゃんはクリスマス何するの?」

 そう、訊かれた。

 相手は友達だ。
 だけど、その言葉にすぐに返事で着なかった。

 「あたしはね、彼氏とデートなの!!」

 智花ちゃんは元気に言った。
 わたしは智花ちゃんがそう言うんだろうなって、なんとなくわかっていた。

 智花ちゃんは大切な友達。だけど、空気が読めないところがある。
 彼氏自慢をしないでよ、なんて思っちゃう。
 わたしには彼氏なんていないんだもん。

 わたしには智花ちゃんみたいな美貌は手にしてない。男友達がいたことがあるけれど、わたしは、恋という物を知らないまま、今日まで来ている。


 そして、今日にまで至る。
 多分今日、彼氏がいない女子なんて、わたしくらいのものだろう。


 だって、クラスの皆彼氏がいるんだもん。

 みんないいなあ、なんて思う。


 街中を歩く人たち。

 みんな楽しそうだ。

 街中を歩いているだけで、カップルでいる人たちが多く見える。

 智花ちゃんも今、カップルでデートしているんだろうな。

 そんな事を思ったらむなしく思う。

 わたしだって、ずっとクリスマスの事が嫌いだったわけじゃない。小学生の時、クラスメイトと約束をしたはずなの。
 一緒にクリスマス出かけようって。

 だけど、それはかなう事がなかった。

 だってその子は突然消えたんだから。


 過去の栄光?にすがっていても仕方がない。

 家に帰ろう。
 家に帰ったら、わたしのこの気持ちも収まる。
 そして家で、ドラマでも見よう。


 そう思うも、わたしの足は中々前に進まなかった。

 わたしは小さくため息をついた。そして、近くの公園に行き、ベンチに座る。

 わたしだって、わたしの顔だって悪くないと思うのに。

 化粧とかは不慣れでしてないけれど、でも軽いスキンケアはいつもしている。髪の毛も美容室で斬ってもらってる。
 性格は内気だけど。

 「はあ」

 ため息をついたら、幸せが逃げるだなんて、よく言う話だ。

 だけど、このむなしさを考えたら、虚しさにしかないんだよ。