やけっぱちのクリスマス

 スマホの通知が鳴った時に、ときめきを感じられたらいいのに⋯⋯。

 渋々、スマホを手に取ると、冬彦さんからのメッセージだった。
 それが本名かどうかは知らない。
 私だって、樹利亜と名乗っているけれど、本名ではないし。
『こんにちは。ずいぶん寒いですね』
 だから何だというのか。

 不器用なのか、頭が悪いのかは謎だが、冬彦さんのメッセージは、いつも他愛のないことばかり。
 それでも、他の男たちのように、やたらガツガツ来られたり、下心丸出しではないだけマシと思えて、今は消去法で冬彦さんとだけメッセージのやり取りをしている。

 あーあ⋯⋯。
 まさか、自分がマッチングアプリに手を出すなんて思わなかった。
 アプリで彼氏を見つけたという友達は意外と多いけれど、私には好きな人がいるから、関係ないはずだったのに。
 その好きな人というのが、友達⋯⋯いや、せめて知人ならよかったのだが。