美咲は気にせず話を続けた。
「それで、相談なんだけど、今度イベントをやるの。それの案内が足りなくて、制作部から何人か手伝ってもらえないかな?大下部長が恵に聞いてって」
美咲が本題を切り出した。
アリサが勢いよく手を上げた。
「やります!」
「ありがとうぉ~」
美咲が笑顔で答える。
「ちょっと待って。まだ、やるとは言ってないです」
恵が慌てて口を挟んだ。
「何を言ってるんですか!もう制作部も閑散期に入るし、暇じゃないですか!」
「そうだけど」
「恵、お願い!」
美咲とアリサが恵に向かって手を合わせている。
恵はため息をついた。
「わかりました」
「ありがとう!早速なんだけど、中村くん今日借りていい?」
美咲が中村を見た。
「私が行きたいです!」
アリサが再び手を上げる。
「今日は高杉さん来ないわよ」
美咲が苦笑する。
「じゃぁ、大丈夫です」
アリサがあっさりと手を下ろした。
美咲が恵を見る。
「本人が大丈夫なら」
恵が答えた。
「今日は余裕があるので、大丈夫です」
「じゃぁ、行きましょ」
「え、もうですか?」
中村が残りのご飯をかきこんでトレイを持って立ち上がる。
「いってらっしゃーい」
アリサと恵が手を振った。
いそいそと食器を返却して美咲と中村が食堂を出て行った。
恵は雑誌の高杉の写真を見つめた。
「あれ? あれれ? もしかして恵さんもタイプですか?」
アリサが楽しそうに恵の顔を覗き込む。
「いや、そうじゃないけど」
「ないけど?」
「なんでもない」
恵が雑誌を閉じようとする。
「なんですか~気になるじゃないですかぁ」
アリサが雑誌を奪い取った。
「違うかもしれないんだけど、私の婚活アプリでやり取りしてる人に似てるの」
恵が小さな声で言った。
「え?」
恵はスマートフォンを操作して、アリサに見せた。
アリサが画面を見て、声を上げる。
「似てるってか、これ本人じゃないですか!」
「やっぱり?」
高杉の写真に『Tさん』と書かれた画像がスマートフォンに映し出されている。
「しかもTさん……高杉さん……」
アリサが雑誌とスマートフォンを交互に見る。
「でしょ?この人だよね?」
「いやいやいや、でもこんな雑誌で特集されるような人が婚活アプリやりますかね?」
アリサが首を傾げた。
「そうなんだよね」
「ネットから適当に画像取ったんじゃないですか?」
「えー何それ。やだぁ」
恵が顔をしかめる。
「恵さんだってめっちゃ加工してるじゃないですか」
アリサがスマートフォンを操作する。
恵の原形がまったくない女性の画像がスマートフォンに映し出された。
『Iさん』と名前が表示されている。
「こんなのに仕事の知識、使わないでくださいよ」
恵はフォトショが得意でそれを使って画像を加工していた。
「いいの!私たちは会わないんだから」
「でも気になりますね。本物なのか偽物なのか」
アリサが雑誌の高杉の写真をじっと見つめる。
恵も一緒に写真を見た。
整った顔立ち。自信に満ちた笑顔。
(こんな人が、私なんかと……)
「まぁ、どっちでもいいか」
「え?いいんですか?」
「会わないし。このまま、たまにメッセージくれる人でいてくれれば」
恵は寂しそうに笑った。
「それで、相談なんだけど、今度イベントをやるの。それの案内が足りなくて、制作部から何人か手伝ってもらえないかな?大下部長が恵に聞いてって」
美咲が本題を切り出した。
アリサが勢いよく手を上げた。
「やります!」
「ありがとうぉ~」
美咲が笑顔で答える。
「ちょっと待って。まだ、やるとは言ってないです」
恵が慌てて口を挟んだ。
「何を言ってるんですか!もう制作部も閑散期に入るし、暇じゃないですか!」
「そうだけど」
「恵、お願い!」
美咲とアリサが恵に向かって手を合わせている。
恵はため息をついた。
「わかりました」
「ありがとう!早速なんだけど、中村くん今日借りていい?」
美咲が中村を見た。
「私が行きたいです!」
アリサが再び手を上げる。
「今日は高杉さん来ないわよ」
美咲が苦笑する。
「じゃぁ、大丈夫です」
アリサがあっさりと手を下ろした。
美咲が恵を見る。
「本人が大丈夫なら」
恵が答えた。
「今日は余裕があるので、大丈夫です」
「じゃぁ、行きましょ」
「え、もうですか?」
中村が残りのご飯をかきこんでトレイを持って立ち上がる。
「いってらっしゃーい」
アリサと恵が手を振った。
いそいそと食器を返却して美咲と中村が食堂を出て行った。
恵は雑誌の高杉の写真を見つめた。
「あれ? あれれ? もしかして恵さんもタイプですか?」
アリサが楽しそうに恵の顔を覗き込む。
「いや、そうじゃないけど」
「ないけど?」
「なんでもない」
恵が雑誌を閉じようとする。
「なんですか~気になるじゃないですかぁ」
アリサが雑誌を奪い取った。
「違うかもしれないんだけど、私の婚活アプリでやり取りしてる人に似てるの」
恵が小さな声で言った。
「え?」
恵はスマートフォンを操作して、アリサに見せた。
アリサが画面を見て、声を上げる。
「似てるってか、これ本人じゃないですか!」
「やっぱり?」
高杉の写真に『Tさん』と書かれた画像がスマートフォンに映し出されている。
「しかもTさん……高杉さん……」
アリサが雑誌とスマートフォンを交互に見る。
「でしょ?この人だよね?」
「いやいやいや、でもこんな雑誌で特集されるような人が婚活アプリやりますかね?」
アリサが首を傾げた。
「そうなんだよね」
「ネットから適当に画像取ったんじゃないですか?」
「えー何それ。やだぁ」
恵が顔をしかめる。
「恵さんだってめっちゃ加工してるじゃないですか」
アリサがスマートフォンを操作する。
恵の原形がまったくない女性の画像がスマートフォンに映し出された。
『Iさん』と名前が表示されている。
「こんなのに仕事の知識、使わないでくださいよ」
恵はフォトショが得意でそれを使って画像を加工していた。
「いいの!私たちは会わないんだから」
「でも気になりますね。本物なのか偽物なのか」
アリサが雑誌の高杉の写真をじっと見つめる。
恵も一緒に写真を見た。
整った顔立ち。自信に満ちた笑顔。
(こんな人が、私なんかと……)
「まぁ、どっちでもいいか」
「え?いいんですか?」
「会わないし。このまま、たまにメッセージくれる人でいてくれれば」
恵は寂しそうに笑った。
