婚活アプリで出会った人が運命の人だった

恵は、白湯の入ったコップを手に取り、ふーふーと息を吹きかけた。
メッセージを知らせる通知が来る。

「え?もう?ちゃんと寝てるのかな?Tさん」

『Iさんは朝、一杯の白湯から始めるんだっけ?健康的だよね。おばさんだからって言ってたけど、まだ20代でしょ?若いじゃない。僕は30だけどいいの?』

恵はスマートフォンから目を離した。

「ごめんなさい。本当は32なんです」

小さく呟いて、ため息をつく。
婚活アプリに登録する時、年齢を20代に設定してしまった。
同僚のアリサに「30代より20代の方がマッチング率高いですよ」と言われて、つい。

「まあ、どうせ会うことはないし」

白湯を一気に飲み干すと、立ち上がる。
ソファの上にスマートフォンを置いて、着替えに向かった。