婚活アプリで出会った人が運命の人だった

翌朝。恵が出社すると、美咲が待っていた。

「恵」

美咲が恵を呼び止める。

「美咲さん」

恵は少し緊張した。

「昨日はごめん。言い過ぎた」

美咲が素直に謝った。

「私こそごめんなさい。接客を馬鹿にしてるわけじゃなくて」
「わかってる。恵がそんな子じゃないのは知ってるから」

恵はホッとした表情を見せた。

「それで、来週のイベント、やっぱり来てくれない?」

美咲が恵の手を取った。

「はい、行きます」
「本当?」
「うん。ちゃんと仕事として向き合うから」
「ありがとう!」

美咲が嬉しそうに恵の手を握った。
2人はカフェテリアへ向かった。
コーヒーを買って、テーブルに座る。

「ねぇ、美咲さん」
「なに?」
「高杉さんって、どんな人?」

美咲が驚いた顔をする。

「え? どうしたの、急に」

美咲が明らかに動揺しているのを感じ取り恵はドキッとした。

「あ……いや、この前、イベントで会って。気になって」

恵が誤魔化すように笑った。

「仕事はできるよ。すごく。でも……」
「でも?」
「ちょっと冷たいっていうか、ビジネスライクすぎるっていうか」
「冷たい?」
「人としてはいい人だと思うけど、仕事になると別人みたいになるの」

美咲が目を泳がせてコーヒーを飲んだ。

「そうなんだ」

恵は複雑な表情になった。

「でも恵には優しくしてくれたんじゃない? この前のレストラン」
「え? なんで知ってるの?」

恵は動揺しすぎてコーヒーをひっくり返しそうになった。

「高杉さんから聞いたのよ。『飯村さんと食事に行った』って」
「そ、そうなんだ……」

いつの間にか高杉と美咲の関係に興味を持っている自分がいることに気付いた。
そして、なんとなく高杉は自分との話を美咲にしていることが嫌だった。