婚活アプリで出会った人が運命の人だった

翌朝。
神谷映像株式会社の制作部。
恵がパソコンで結婚式の写真を加工している。
アリサが恵の方に身体を乗り出していた。

「会うべきですよ!」
「でも、会わないって約束だったのに」
「恵さんに惚れちゃったんじゃないですか?」
「まさか」
「でも恵さんも会いたいんでしょ?」
「え、私は別に」
「うそだ~ 会いたいから私に相談してきたんでしょぉ~」
「でも私、加工しちゃってるし」

恵が小さな声で言った。

「そんなの大丈夫ですよ~」
「大丈夫じゃないくらい加工してるんだってば」

恵が頭を抱える。

「大丈夫ですよぉ~」
「大丈夫だと本気で思ってる!?」
「え!?」

恵の気迫にアリサが驚いた。

「あれを見なさい」

恵が社内に貼ってあるポスターを指さした。
アリサがポスターを見る。
中村と新婦役の社員の幸せそうな写真。

「あのポスターの新郎、イケメンに見えない?」
「まぁ、確かに……」
「でもあれは中村よ」

恵が隣で作業している中村の肩を叩いた。

「なんすか! 失礼ですね!」
「あんた、何、あの詐欺写真」
「いやいや、カメラマンが僕の良さを引き出してくれたんですよ」

中村が胸を張った。

「あ、Tさんにこんな風に思われるってこと言ってます? 確かに怖いかも。ホラー」
「そうでしょ」

アリサが苦笑する。

「あ」

恵がスマートフォンを見た。
アリサが覗き込む。

『今日、新宿駅新南口の改札で待ってます』というメッセージ。

「来てる!」

アリサが大きな声で叫んだ。
周りが一斉に恵たちを見る。

「失礼しました」

アリサが頭を下げた。
恵はちらっとスマートフォンを見て、ため息をついた。