婚活アプリで出会った人が運命の人だった

カフェテリアでは恵とアリサが2人でお弁当を食べていた。

「それは最低ですね」

アリサが共感するように言った。
恵が箸を強く握りしめる。

「美咲さんにそのこと話してはどうですか？」
「いいよ、今、高杉さんと一緒に働いてるのに余計なこと言ったらややこしくなる」

恵が鼻で笑った。

「なんですか？」

アリサが不思議そうに尋ねる。

「これで私のTさんはあの高杉じゃないってことが証明されたわ」
「なんでです？」
「だって、あの人が冷たい男だとは思えないもの」

恵がスマートフォンを取り出して見つめた。
画面には、昨夜届いたメッセージが表示されている。

『今日もお疲れ様でした。Iさんは今日、どんな一日でしたか？　僕は大事なお客様を怒らせてしまって、反省しています』

恵の表情が少し和らいだ。

「でも写真は本人ですよね？　しかも怒らせたお客様って辻褄が会いません？」

アリサが覗き込みながら言った。

「たまたまよ。顔が似てるだけの別人よ、きっと」
「そうですかね～」
「そうよ。だって、Tさんは優しいもん」
「恵さん、完全に恋してますね」

アリサの言葉に恵はギョッとする。

「してない！」

恵が慌てて否定する。

「顔、真っ赤ですよぉ～」

アリサがにやにやしながら言った。