翌日早朝。
執事に叩き起こされた私は、手早く支度をしてから王宮へと訪れた。
初めて目にする王宮をゆっくりと見る暇もなく、私は門前で馬車を降りた後、案内の者の後をついて歩く。
ドレスで隠れて見えないところにある傷が痛んで、歩き辛い。昨日「最後の思い出に」と言い出した継母と異母妹の気が済むまで折檻を受けていたからだ。
後ろでは公爵が神妙そうな表情を維持しながら、隠れて私を睨みつけている。そして継母と異母妹は笑いを噛み殺そうとして肩が震えていた。周囲から見れば、「自分の生んだ娘」であるリリスが身を投げることに悲しんでいると見えるだろう。
王宮の廊下を何度曲がっただろうか、ふと目の前に白を基調とした門が現れた。門の奥には鬱蒼と木々が生えている。
門が開き、土が剥き出しの道らしきところを真っ直ぐに進んでいく。しばらくして目前に現れたのは、太陽の光を浴びてキラキラと水面が輝く……女神の泉だった。
女神の泉では、既に両陛下と教皇猊下が眉を下げて悲観した表情で佇んでいた。私たちの存在に気が付くと、教皇猊下は涙を溜めながら私の元へと向かってくる。
一方、公爵達には両陛下が話しかけていた。
「この度は……すまなかった」
「いえ……悲しい事ではありますが、貴族としての責務でございます。娘もそこは理解しておりますので……」
「せめて……リリス嬢が神の御許まで安らかに向かえるよう、皆で祈りを捧げましょう」
「王妃様……ありがとうございます」
公爵夫妻は両陛下の発言に感極まったとでも言わんばかりに、公爵は袖で目を拭い、継母は両手で顔を覆う。二人とも演技が上手なのね……それよりも、継母に隠れて私を嘲笑っている異母妹は良いのだろうか、と他人事ながら思っていた。
前に立った猊下は、私が家族の方を見ていることに気がついたのか、留まっているようだ。家族との別れが辛いのだろう、と思っているのかもしれない。
私が猊下へと顔を向けると、彼は「女神のご加護を」と私を祈りに捧げられたが、私の心は微動だにしなかった。
執事に叩き起こされた私は、手早く支度をしてから王宮へと訪れた。
初めて目にする王宮をゆっくりと見る暇もなく、私は門前で馬車を降りた後、案内の者の後をついて歩く。
ドレスで隠れて見えないところにある傷が痛んで、歩き辛い。昨日「最後の思い出に」と言い出した継母と異母妹の気が済むまで折檻を受けていたからだ。
後ろでは公爵が神妙そうな表情を維持しながら、隠れて私を睨みつけている。そして継母と異母妹は笑いを噛み殺そうとして肩が震えていた。周囲から見れば、「自分の生んだ娘」であるリリスが身を投げることに悲しんでいると見えるだろう。
王宮の廊下を何度曲がっただろうか、ふと目の前に白を基調とした門が現れた。門の奥には鬱蒼と木々が生えている。
門が開き、土が剥き出しの道らしきところを真っ直ぐに進んでいく。しばらくして目前に現れたのは、太陽の光を浴びてキラキラと水面が輝く……女神の泉だった。
女神の泉では、既に両陛下と教皇猊下が眉を下げて悲観した表情で佇んでいた。私たちの存在に気が付くと、教皇猊下は涙を溜めながら私の元へと向かってくる。
一方、公爵達には両陛下が話しかけていた。
「この度は……すまなかった」
「いえ……悲しい事ではありますが、貴族としての責務でございます。娘もそこは理解しておりますので……」
「せめて……リリス嬢が神の御許まで安らかに向かえるよう、皆で祈りを捧げましょう」
「王妃様……ありがとうございます」
公爵夫妻は両陛下の発言に感極まったとでも言わんばかりに、公爵は袖で目を拭い、継母は両手で顔を覆う。二人とも演技が上手なのね……それよりも、継母に隠れて私を嘲笑っている異母妹は良いのだろうか、と他人事ながら思っていた。
前に立った猊下は、私が家族の方を見ていることに気がついたのか、留まっているようだ。家族との別れが辛いのだろう、と思っているのかもしれない。
私が猊下へと顔を向けると、彼は「女神のご加護を」と私を祈りに捧げられたが、私の心は微動だにしなかった。


