妹に代わり泉に身を投げた私、湖底の街で愛を知る 〜虐げられた私が幸せを築くまで〜

 その日から、私の待遇は変わった。
 社交界の噂になっている『男遊びが激しく、だらしのない異母妹』に仕立て上げようと彼らは躍起になっているらしい。まず私を太らせようと、食事の量が今までの数倍に増やされていた。
 けれども今までパンとスープしか食べていない私が、いきなりフルコースの料理を出されても食べられるはずがない。
 半分ほど残して食事を終えたのだが、皿を下げにきた侍女は「旦那様の指示だ」と言って完食するまで無理やり食べさせるようになった。

 それだけでなく週に一度侍女が訪れ、私の身体をマッサージをするようになる。
 その侍女も「臭い」だの「鶏ガラ」だの嫌味や悪口ばかり言いながら、痛みを感じるほどの強さで身体を押すため、見えないところに痣ができてしまっていた。
 
 後は数日に一回だった身体の清めが毎日に変わったくらいか。
 物置に近い使用人用の扉の前に大きなワインの樽が置かれ、その中に水が入っている。私は毎日それに入るよう指示された。必要経費だと割り切っているのか石鹸も使うように指示され、以前よりも非常に綺麗な身体になっていた。
 
 それが一ヶ月ほど続いた頃――。

 物置の窓から外を見つめていた私は連れ出され、公爵達の前に立たされる。
 彼らは私を上から下まで舐めるように視線を動かす。そんな三人の行動を見ても、私の心は凪いだままだ。沈黙が場を支配する中、最初に声を上げたのは公爵だった。

「ふむ、こいつに少しでも金をかけるのは嫌だったが……あの時よりは大分マシになっただろう。これなら入れ替わった、と言われても気がつかないだろうな」
「これなら上手く進みそうですわね、お父様。……お姉様、喜びなさい? 私が昔着ていたドレスを下げ渡してあげる」
「ああ、生贄なのだから宝石類はつけさせないわよ? お前になぞ勿体ないもの」

 ニタニタとした笑みで私を見下す三人。私は「仰せのままに」と告げて静かに頭を下げた。