それから一週間は、表上リリスが泉へと身を投げたからと私たちは静かに暮らしていた。たまに我が派閥の貴族たちが現れては、弔いの言葉をかけていく。
驚いたのは、あの女が入水した翌日に教皇猊下が我が家を訪ねてきたの。お父様とお母様は頭痛がひどかったのよね。いわゆる二日酔いの状態で猊下に対応していたわ。
けれども、それが良い方向へと動いたようね。猊下は娘のリリスが亡くなったことで、泣き暮れ、憔悴していると受け取ったのよ。目尻に涙を浮かべながら、慰霊の言葉を掛けられたわ。私、笑いを堪えるのに必死だったの。だって、内心はあの女がいなくなって清々としていたのだから。
聖務者として務めを果たしたあの女の追悼は、あの女の姿が沈んで見えなくなった頃に教皇猊下によって執り行われたの。だから、公爵家で葬礼を開くこともない。非常に楽なものだったわ。家の中で静かに……まあ、少しくらい祝い酒を味わって騒ぐくらい問題ないでしょ。
そして今日が八日目。
弔いは七日目までなので、今日からある程度自由に過ごすことができるわ。と言っても、昨日の今日で街へ繰り出すのはあまりよろしくないでしょうね……一応認めたくないけれど、対外的には家族が亡くなったのだから、少し自粛しておきましょう。
私は気分転換も兼ねて、ガゼボで刺繍をする。ずっと屋敷の中にいたので、身体が鈍ってしまったようだ。たまに庭園を散歩しつつ、刺繍に集中していた。昼食の時間になると、お母様とお父様も私の元に来られて、外で食事をとる。
この邸の皆の顔が綻んでいた。私もついつい頬が緩んでしまう。
とっとと追い出せて良かった、そう思いながら私は少し冷めた紅茶に口をつける。そんな時――。
執事の一人が、狼狽えながらお父様の元へ歩いてくる。そして私たち全員に聞こえる程度の大きさの声で話し始めた。
「門前に、第二王子殿下がいらしておられます」
その言葉に私たちは思わず顔を見合わせる。
きっと婚約の話でしょうね……私の心は天にも昇るような気持ちだった。
驚いたのは、あの女が入水した翌日に教皇猊下が我が家を訪ねてきたの。お父様とお母様は頭痛がひどかったのよね。いわゆる二日酔いの状態で猊下に対応していたわ。
けれども、それが良い方向へと動いたようね。猊下は娘のリリスが亡くなったことで、泣き暮れ、憔悴していると受け取ったのよ。目尻に涙を浮かべながら、慰霊の言葉を掛けられたわ。私、笑いを堪えるのに必死だったの。だって、内心はあの女がいなくなって清々としていたのだから。
聖務者として務めを果たしたあの女の追悼は、あの女の姿が沈んで見えなくなった頃に教皇猊下によって執り行われたの。だから、公爵家で葬礼を開くこともない。非常に楽なものだったわ。家の中で静かに……まあ、少しくらい祝い酒を味わって騒ぐくらい問題ないでしょ。
そして今日が八日目。
弔いは七日目までなので、今日からある程度自由に過ごすことができるわ。と言っても、昨日の今日で街へ繰り出すのはあまりよろしくないでしょうね……一応認めたくないけれど、対外的には家族が亡くなったのだから、少し自粛しておきましょう。
私は気分転換も兼ねて、ガゼボで刺繍をする。ずっと屋敷の中にいたので、身体が鈍ってしまったようだ。たまに庭園を散歩しつつ、刺繍に集中していた。昼食の時間になると、お母様とお父様も私の元に来られて、外で食事をとる。
この邸の皆の顔が綻んでいた。私もついつい頬が緩んでしまう。
とっとと追い出せて良かった、そう思いながら私は少し冷めた紅茶に口をつける。そんな時――。
執事の一人が、狼狽えながらお父様の元へ歩いてくる。そして私たち全員に聞こえる程度の大きさの声で話し始めた。
「門前に、第二王子殿下がいらしておられます」
その言葉に私たちは思わず顔を見合わせる。
きっと婚約の話でしょうね……私の心は天にも昇るような気持ちだった。


