「ああ、邪魔者が居なくなったな」
「本当ね。リリスが聖務者に選ばれた時はどうなるかと思ったけれど……上手くいって良かったわぁ」
お父様とお母様がワインをうっとりと眺めている。
『今日は祝杯だ』と言っていたお父様は、あまりの嬉しさから秘蔵のワインを開けたのだとか。お母様も最近社交界で流行っているお菓子を購入して、使用人に目の前に並べさせていた。
今朝、私の異母姉であるエーヴァが泉に身を投げたのだ。私たち公爵家の中で唯一、邪魔な者……それが異母姉だった。
元々エーヴァの母とお父様は政略結婚だったそうよ。当時、お父様は私のお母様と交際しており、家の事情でエーヴァの母と婚約しなくてはならなくなったそう。つまりエーヴァの母がお父様とお母様の愛を引き裂いたのよ。
最初こそ『跡取り』が必要だと言われ、嫌々房事は行われていたらしいのだけど……幸い数回でエーヴァが宿ってからは、お父様はお母様の元へ通ったの。その時は既にエーヴァの母との仲は険悪だったそうね。
生まれたエーヴァを別邸に押し込んだお父様は、お母様を本邸に迎えたの。そしてエーヴァが五歳になった頃……彼女の母が亡くなったのよ。
その時のこと、よーく覚えている。お父様は母が亡くなって呆然としている彼女に、こう言い放ったのよ。
「ふん、やっとくたばったか」
あの時のエーヴァの顔ときたら……傑作だったわ。いつも無表情で何を考えているか分からない女が、まるで魂が抜け落ちたかのようにポカンと口をみっともなく開けていたのだもの。
笑っては悪いと思った私は、その時我慢していたわ。けれども、後からお母様とお腹を抱えて大笑いしたのを覚えている。
その後もまた愉快だった。
エーヴァの母はあれでもお父様の正妻だったからね。やはり葬式はきちんと開かれたのよ。けれども、娘であるエーヴァはお父様に『目障りだ』と物置に閉じ込められ、葬式ですら出させてもらえなかったの。
エーヴァについて聞いてきた弔い客もいたようだけど、お父様が哀愁漂う表情で「悲しみに耽っている」と伝えれば、納得したそうよ。
実際はお父様が顔も見たくないと、閉じ込めていたのだけどね。笑っちゃうでしょ?
「本当ね。リリスが聖務者に選ばれた時はどうなるかと思ったけれど……上手くいって良かったわぁ」
お父様とお母様がワインをうっとりと眺めている。
『今日は祝杯だ』と言っていたお父様は、あまりの嬉しさから秘蔵のワインを開けたのだとか。お母様も最近社交界で流行っているお菓子を購入して、使用人に目の前に並べさせていた。
今朝、私の異母姉であるエーヴァが泉に身を投げたのだ。私たち公爵家の中で唯一、邪魔な者……それが異母姉だった。
元々エーヴァの母とお父様は政略結婚だったそうよ。当時、お父様は私のお母様と交際しており、家の事情でエーヴァの母と婚約しなくてはならなくなったそう。つまりエーヴァの母がお父様とお母様の愛を引き裂いたのよ。
最初こそ『跡取り』が必要だと言われ、嫌々房事は行われていたらしいのだけど……幸い数回でエーヴァが宿ってからは、お父様はお母様の元へ通ったの。その時は既にエーヴァの母との仲は険悪だったそうね。
生まれたエーヴァを別邸に押し込んだお父様は、お母様を本邸に迎えたの。そしてエーヴァが五歳になった頃……彼女の母が亡くなったのよ。
その時のこと、よーく覚えている。お父様は母が亡くなって呆然としている彼女に、こう言い放ったのよ。
「ふん、やっとくたばったか」
あの時のエーヴァの顔ときたら……傑作だったわ。いつも無表情で何を考えているか分からない女が、まるで魂が抜け落ちたかのようにポカンと口をみっともなく開けていたのだもの。
笑っては悪いと思った私は、その時我慢していたわ。けれども、後からお母様とお腹を抱えて大笑いしたのを覚えている。
その後もまた愉快だった。
エーヴァの母はあれでもお父様の正妻だったからね。やはり葬式はきちんと開かれたのよ。けれども、娘であるエーヴァはお父様に『目障りだ』と物置に閉じ込められ、葬式ですら出させてもらえなかったの。
エーヴァについて聞いてきた弔い客もいたようだけど、お父様が哀愁漂う表情で「悲しみに耽っている」と伝えれば、納得したそうよ。
実際はお父様が顔も見たくないと、閉じ込めていたのだけどね。笑っちゃうでしょ?


