マーガレット

「少し見るだけです。貴女も呪いの影響を受けていたら大変なので」

「いや……。いやッ!!」

 さっきまでおどおどしていた彼女は目の色を変え、スカートの下に隠し持っていたナイフを手に取り何故か私目掛け突っ込んできた。
 自慢じゃないけど聖神力以外特に取柄もない私が避けれるはずもなく、動かない足と頭でどうしようか考えていると隣から腕を掴まれ、強い力で思いっきり引っ張られた。

「え」

ドスッ――

「何をぼさっとしている!」

「は、はっ!」

 女性だから手荒な真似はしないと思っていたら陛下の中で彼女はもう『敵』となり、手加減などせず思いっきり蹴飛ばされ、騎士の方へと飛んだ。

 あっけに取られていた騎士は陛下の一声で正気に戻り、ナイフを取り上げ彼女を拘束する。

「――ッ。最悪……。長年バレずにやってこれたのに。あと少しで殺せたはずだったのに!!」

 彼女は何も知らないのかも。

「残念ですがこの程度では死にませんよ。弱ってベッドから起き上がることは出来なくても、ただそれだけです。疲れやすく体調を崩しやすくなる程度。死にそうに見えたのは恐らく食が細くなり痩せていった上、色んな治癒を試し痛みに苦しんでいたから」

「うそよ……。だってあの人が死ぬって」

「あの人?」

「あ……。違う。いやッ!!」

 何かに怯えるように震えだしたかと思ったら、泡を吹いてそのまま気絶してしまった。
 彼女にとって『あの人』の存在はそれだけ怖いものなのだろう。

「地下牢に閉じ込めておけ」

「はっ」

 あっという間に騎士が彼女を連れて行ってしまい、残った使用人は外で待機しているよう命令した。
 もちろん陛下が。