マーガレット

「それよりもこの薬湯の淹れ方と薬の使い方を教えてくれ」

「そうですね。まず」

「ま、待ってくれ。今映像石で録画するから」

 伯爵くらいかと思ったけど公爵かそれ以上か……。
 映像石なんて簡単に持ち歩けるような代物ではない。しかも指輪に加工できるくらい高価な物を持っているなんて普通じゃ考えられない。

もしかして皇子……とか?

「人探しの為に渡された物だが一刻を争うからな」

 確かにそれもそうだ。

「では説明しますね。まず薬湯を」

 初めて映像石に向かって薬の説明をしたが、意味の分からない緊張が自身を襲った。

 目の前の二人に説明していると思えばいいと頭では分かっていても、指輪をこちらに向けられたら意識してしまう。初めての体験で謎に体がぞわぞわする。

「――と、これは化粧水と同じ使い方で」

 一つ一つ説明して行き、全てを終える前に映像石の効果が切れると思っていたがさすが高級品。
 最初から最後まで私の説明を全て撮り終えてしまった。

「助かった。お礼は是非今度させてくれ」

「じゃあ次に会った時にどうなったか報告してください」

 そう言うと彼はもう一度深く頭を下げお礼を言った。

「あ、あとこれを。お湯を注ぐと花が咲くお茶です。見た目も味も良いので、もしお母様が落ち込んでいたりしたら淹れてあげてください。リラックス効果もあるので」

 花茶を三回分渡すと不思議そうに私の顔を見て

「損はしないのか?」

 とデンは言った。

「皇帝陛下が行けと仰った場合は使った薬などの申請をするとお金になって返ってくるんです。今回は全て返って来るので気にしないでください」

 まぁ、今回ばかりは返金を辞退しているから返ってくることはないけど、皇太子殿下に貰った温室があるから困ることはない。

「そんなシステムが……。やはり聖女の在り方を考え直した方がいいな」

 他国だけど私もそう祈ってる。

 それからライは仕度を整えデンと一緒に国へ帰った。私たちは変わらず、残りの滞在期間を調合に当て、皇都へと帰ったと同時に陛下の元へ行き全て報告した。
 一緒に行ってくれた四名への報酬は最初の通り、そして私は辞退すると言ったら『黙って受け取れ』と使用した分の薬代を渡されこの件は終わった。