マーガレット

「あと体に赤いプツプツとしたものが出てきたとか」

 赤いプツプツって、発疹?
 それって……。

「もしかしてデンのお母様は香りの強い紅茶を好みますか?」

 私と同じタイミングで聖女の一人が気づいた。

「酷く疲れている時は好むかもしれない。以前飲んでいる所を見たからな」

「マーガレット様。もしかしてですが毒作用のある花の紅茶ではないでしょうか? アルバール国では輸入も禁じられている味と香りはとても素晴らしい物ですが、確か人によってはそう言った症状が出ると」

 ゴーラルでは入浴剤や化粧水の香り付けとして用いられると聞いたことがある。ゴーラルでも食用が禁じられたのは何代か前の皇太子妃がそれで亡くなったから。
 体の中に入れなきゃ毒にもならないそれは、ゴーラルでは誰もが手に入れられるその花は、亡くなった皇太子妃の名がつけれられている。

「アリアーデル……。もしかしてそれはアリアーデルの花ではないか?!」

「ライの言う通り。症状からしてそうかと。ですが聖女が作り出す専門の薬湯と塗り薬で中と外から治療し、しばらくしたら治ると思います」

 アリアーデルの花を使って亡くなる場合は口に入れてから一時間以内だから、事が起きて医者か聖女に診せてからデンに手紙を書いたとすれば、一時間以上は経っているはず。

 奥さんが大変な時に手紙は書かないと思うし。

「薬湯を二週間分出しますね? 一週間で症状が治まったら飲まなくてもいいので。あと化粧水とは違いますがこれを顔に塗ってください」

 空間から物をポンポン取り出す私に二人は驚いた表情を見せる。

「魔法が使えるのか?」

「いえ。この指輪の効果です。無限に収納でき、中に入れたら時間が止まるらしく劣化しないのでとても便利ですよ」

 たまに買って入れたままになっていたケーキとか出て来るけど。

「すごいな君は。国に連れて帰りたいくらいだ」

「すみません。こう見えても皇宮聖女なので」

「ほぉ。皇帝陛下直属だったか。なるほど。それでは連れて帰れないな」

 悔しそうにした彼は薬を受け取り、お金を支払おうとした。

「あー。実は死ぬほど薬湯を作っているので貰ってください。あとその塗り薬も。お礼は手紙で報告するだけでいいので」

「……冗談だろ?」

「デン。マーガレット嬢は俺の治療費も受け取らなかったくらいだぞ。諦めないと更に薬を持たされるから引き下がった方がいい」

「嘘だろ?! 俺ゴーラルの聖女に剣がかすっただけの怪我で六十万クーア取られたんだけど! 国が違うとこうも違うのか……?」

 三つの帝国はお金の単位が違うだけで価値は殆ど一緒だから六十万アバル取られたって事!?
 う、嘘でしょ……?

「デンは見た目通りいい所のお坊ちゃんなんですね」

 この場にいる皆が思ってることを聖女の一人が口にした。

「え? あ、まぁそこそこ」

 嘘つけ。