マーガレット

 今日は教会に隔離されていた患者を一人一人診て大丈夫なら帰すという日。教会側が持ち帰りのフルーツと数日分の薬湯を包み、帰っていいと言われた人から順に受け取って帰る。
 外には家族が待っていたり、恋人が待っていたり様々だが、皆『よかった』と泣きながら嬉しそうに抱き合っていた。

「帰ったらもうお姉さんに会えないの?」

「君が大きくなって立派に、そして元気に育ったら会えると思うよ。それまでお手伝いを頑張るんだよ?」

「……うん」

 重症者の部屋に居た男の子が寂しそうにする。

 一般市民が私と会う時は病に侵された時か大怪我をした時だけ。だからこの子が何事もなく健やかに育ってくれたら会うことはないだろう。

「最後まで治療を頑張ったから飴も持って帰ってね?」

「い、いいの?」

 上目遣いで瞳をキラキラと輝かせる姿が可愛らしい。

「いいよ。兄弟もいたら持って帰ってね」

「ありがとう!」

 あれだけ別れを惜しんでいたのにも関わらず飴の話を持ち出すと、早く家族に会いたいとソワソワしだした。
 ほんと、子供は見ていて飽きない。

「はい。異常はなかったから帰っていいよ。元気でね?」

「うん! お姉さんも!」

 パタパタと走りながら教会の方から渡された袋を持ち、扉を開け外へ。
 母親を呼ぶ声が聴こえたかと思ったらすぐに『マール』と聞こえ、泣き声が聞こえた。

「じゃあ次の方」

 感動の再会を見る間もなく私は他の聖女と共に淡々と診察を進め、夕方には全ての患者が家へと帰った。
 別室にいるアルただ一人を除いて。