マーガレット

 あれから教会に居座った妹と殿下は部屋を用意しろと騒ぎ、食事が質素で不味いと文句を言い、見るに堪えなかった私はヴァルに頼んで片道二時間かかる皇宮に手紙を届けてもらった。

 すると一時間半後、数名の騎士が殿下と妹を連れて帰ってくれただけではなく、陛下から沢山の果物の差し入れまであった。

「へー。じゃあこれ皇帝陛下が?」

「そうです。皆喜んで食べてましたよ。もちろん私も」

 手軽に手に入るリンゴから高級フルーツまで思いつく限りの果物を用意してくださり、日持ちしないからと持ち帰っていいとまで仰ってくださった。

「息子の我が儘に付き合うのも大変だな」

「最近までベッドから出られない状態だったので甘くなってしまうんだと思います。我が子の病気が治り、ああやって元気に動き回っている姿を見るのが嬉しいって親は多いですから」

 恐らく陛下も皇后様も同じ気持ちだから強く出ないし、こうやってお詫びの品を送ってきたのだろう。
 呪いを受けてベッドから起き上がれなかった第二皇子の姿をずっと見て来たから、だから強く言えないし甘やかしてしまう。それは仕方のないことだと思っている。

 親ならね。

「ライもその火傷が治ったら喜んでくれる人はいるでしょ?」

「まぁ……そうだな。泣いて喜ぶんじゃないか?」

「愛されてるね」

「それは否定しない。が、愛され過ぎているからこそ両親に会わないように人探しに立候補した。悲しい顔はみたくないからな」

 両親の話をしている時の彼はとても優しい目をしている。
 心の底から愛されているんだって分かるくらい。