マーガレット

 ――コンコンコン

 ライと話をしていると部屋の扉がノックされた。まだ火傷の痕が酷いからと個室で他人との接触を避けているからこうして用がある時はノックしてくれるのだ。

「どうぞ」

 部屋の主である彼が返事をするとすぐ扉が開き、一人の聖女が強張った表情で顔を覗かせる。

「どうかしましたか?」

「マーガレット様、実は外に第二皇子とリリアナが来ていて」

 え?
 妹たちは隔離しているって陛下が言っていたけど。

「護衛騎士などが見当たらず色々な部屋を見回って――って駄目よ! この部屋はまだ」

「うるさいわね。あら? お姉様と、うわ……気持ち悪っ。まだいたの? この人」

 ライを視界に入れると妹は信じられない言葉を口にした。
 この場にいたライ以外の人物、あの第二皇子ですら驚いた表情をしており反応せずにいると、暴言を吐かれたライだけが声を上げて笑った。

「そういうお前は顔も心も不細工だな」

 え?
 いや妹はどちらかと言えば可愛い部類に入ると思うんだけど。――って思ったがそれは一旦置いておいて、今は二人が何故ここに来れたかを聞かないと。

「殿下。陛下から感染の有無を調べるために外に出られないようにしていると伺ったんですが、この場へは何をしにいらしたんですか?」

 見たところ感染はしていないようだけど、大人しくしていてくれないかな?

「もちろん手伝いだ。父上は俺の言葉を聞いてくれなかったからな。母上に許可を得た」

 陛下は陛下でも皇后陛下か。あの人は第二皇子に甘いから……。

「そうですか。手伝いですか。では教会のベッドシーツなどを洗う人手が足りていないのでそちらを手伝ってください。それか教会全体の掃除か」

「俺に働けというのか!」

「ここでの手伝いはそれ以上にありません。明日になったらもう一度皆を診察し、問題なければ帰す手はずになっているので更に増えますが」

「くっ……。何故俺が」

 殿下は私を睨みリリアナはライを睨みつける。何をしに来たのか素直に従うことも出来ず、何を言っても『嫌だ』と否定する彼らには今すぐ帰ってほしいと願うばかりだ。
 第二皇子じゃなければ犬の姿のヴァルにあしらってもらっていたのに。