マーガレット

「今日はここまでですかね」

 毎日体の一部を治療して、私たちの滞在期間内に全てを治す計画を彼に伝えた。
 最初はあれだけ嫌がっていた聖女への対応も少しずつ変わり、食事を運んでくる子に対しお礼をきちんと言えるようになっただけではなく、ちょっとした世間話も出来るくらいには打ち解けていった。

「俺の中でこの国の聖女は神と同じだと思ってる」

「何をわけの分からないことを。クリームはちゃんと塗っていますか?」

「ああ。毎日欠かさず塗っている。おかげで肌が令嬢のようにモチモチになった」

 本人の希望で顔は最後になり、一番酷かった右腕の火傷を治療して渡したクリーム。乾燥や肌荒れなどを防ぐために私が作った物だ。
 右側を中心に火傷が目立つ。彼は何があったとかは絶対に口にしないし、患者が話さない限り私たちもむやみに聞いたりしてはいけない。

それがルール。

「美男子になりますね」

 診断書に治療の経過などを書き込み、彼が国に帰った時に何があっても大丈夫なように細かく記す。

「ライは治療が終わったら国に帰るんですか?」

「一旦はな。その後はまた人探しだ」

 彼は自国の姫を探しているらしい。
 歳は今年十六歳になる金髪の女の子を。生まれたばかりで誘拐されてしまったから瞳の色も分からない上に、両親のどちらに似ているのかも分からないとか。

 歳は一緒でも私は白銀だから全然違う上に、お姫様なんて夢のまた夢の話。