マーガレット

「どうですか? 痛むとか気持ち悪いとかありますか?」

「……すげぇ」

 パパっと治すと彼が想像していたよりも治療が早かったのか、包帯を自分の手で解きながら『痛くない』と言い、実際になくなった傷を見てずっと『すげぇ』と繰り返している。

「ここまで完璧に治せるなんて凄いな。気持ち悪くないし痛くもない。秘訣は?」

「秘訣? そうですねぇ、アルバール帝国の聖女は研修中に色々教わるんですがその中で絶対守れってのがありまして、どちらか一方が受け入れるだけじゃ完璧に治癒できない。互いに治したい、治されたいと強く思わなければ効果は薄まる、と」

「……傲慢なゴーラルの聖女じゃ無理か。人を癒したいという思いが違うとは」

 彼曰く、ゴーラルの聖女は『お金』や『地位』など自分の為になる人ばかり治療し、一般市民も顔がいい人やあり得ない条件を提示してから治療に入るらしい。
 衣食住すべてが税金で賄われ、貴族並みに一流品を買い漁る無駄遣いを注意できる者もいないとか。

「俺みたいな存在は特に嫌われる。気持ち悪いからな」

「じゃあコレ全部治して見返しましょう。見たところかなりのイケメンだと思うので」

「イケメン? この姿で言われたのは初めてだな」

 嬉しそうに、でもどこか照れながら笑う彼は間違いなくイケメンだと思う。
 瞳の色も綺麗だし、顔が整っている。皆火傷の痕ばかり見て彼の本当の姿を見ないのだろう。

「なんだろうな。普通に君のことが好きになりそうだ」

「本当ですか? なら全て綺麗に治してから元気な姿を見せてください」

 この調子なら治療も簡単に終わりそうだ。

「あれ? もしかして今俺フラれた?」

「ふふっ。どうでしょう」

 その日の夜。初日に報告書として送った手紙の返事が返ってきた。わざわざ陛下がお書きになったのか、ここには一週間の滞在で全てを終わらせろってことと、第二皇子を念のためリリアナと一緒に隔離して聖女に任せていること。

 そして全てが終わり落ち着いた頃に時間をくれってことが書かれていた。