マーガレット

 あれから散歩が出来るようになるまで回復した私は、殿下から頂いた温室にこもって一日を過ごすことが多くなった。

 皇宮聖女としてはまだ活動しなくていいと言う陛下の言葉に甘え、植物の状態を見ながらゆっくりする。そしたらいつの間にか皇太子殿下が現れて私の横に座り、お茶をしながら会話をし、のんびり過ごす。

 今はこの時間がとてつもなく好きだ。

「そう言えば第二皇子の婚約が決まりそうだと伺ったんですが」

「ああ。俺としてはどうでもいいが、下から結婚するのは示しがつかないと言われて逃げている所だ」

「あー。私もその件で義父から連絡が来ました。なんでも義妹が婚約するからと」

 養子だろうが長女なら義妹より先に結婚しろと。

「なんだ聞いてないのか? リシュライドの相手は君の妹だと」

「え? そうなんですか? 初めて聞きました」

 大切な話はそんなにしてくれない上に、家族は義妹中心だからベタベタに甘えさせて可愛がっている。
 幼い頃はそんな義妹を羨ましく思った時期もあったけど、今は別にどうでもいい。家を離れて自分だけの場所を手に入れたから。

「家族に対して無関心なのか?」

「私がですか? どちらかと言えば家族が私に無関心かと」

 義妹に関しては私を嫌っていると思うし。

「そうか。どこも訳ありなんだな」

 殿下はそれ以上は家族について聞いてこなかった。

 殿下もそれなりにワケありで、現在の皇后様は元々側室だった方。皇太子殿下の母君であり、前皇后陛下が行方不明になったと公表されたのは随分と前の話。

 皇太子殿下の母君と現在の皇后は仲が悪かったと聞くし、何かしらあるのだろう。

「いい天気だな」

「そうですね」

 この時間は殿下の迎えが来るまでゆったりと続いた。