放課後の食堂は、昼の喧騒(けんそう)が嘘みたいに静かだった。 窓から差し込む夕方の光が、テーブルの上で淡く揺れている。 私はミルクティーのキャップを開けて、ひと口だけ飲んだ。 すると 「朝比奈(あさひな)先輩」と急に名前を呼ばれた。 その声は、まるで私の名前だけを探していたみたいに、 迷いなく、まっすぐ届いた。 振り返ると、見覚えのない一年生が立っていた。 でも、その目は“やっと見つけた”みたいに輝いている