これが正真正銘最後の恋

近くを通る人の気配が苦手でも、表情は変えない。

呼吸が浅くなっても、胸の奥がざわついても、
“平気な顔”だけは崩さない。

崩したら最後。

私はまたやつらの玩具(おもちゃ)になる

ドアが開いて、人が一斉に降りてくる。
その流れに逆らわないように、私は少しだけ体を傾けた。

外の景色はまだ薄暗くて、
街全体が眠っているみたいだった。

電車が揺れるたびに、
ミルクティーの影が膝の上で揺れた。