これが正真正銘最後の恋

「よく飲んでるの見たので」

「見たって……電車で?」

「はい」

後輩くんはそれ以上何も言わず、ただこっちを見ていた。

その視線が、なんとなく落ち着かなくて、ミルクティーをもう一口飲んだ。

「……帰るね」

席を立つと、その1年生とやらも立ち上がった。
歩き出すと、少しだけ歩幅を合わせてくる。

本当に何が目的なんだろう。

「また会えますよ。
 先輩、よくここにいますから」

(……見てたんだ)

そう思ったけど、口には出さなかった。

ただこの人は信用してもいいのかなってそう思ってしまった自分に不覚