これが正真正銘最後の恋

朝の空気は、少し冷たかった。

冬に向かう前の季節は制服の上からでも風が通り抜けていく。

私は駅のホームで、ミルクティーのキャップを開けた。
甘いものを飲むと、一旦頭がリセットされる

ホームに立つとき、私はいつも背筋を伸ばす。

眠くても、だるくても、“ちゃんとしている自分”を崩さないように。

そうしたらきっともうあんな気持ちにはならないはずだから。

髪を耳にかける仕草も、視線の置き方も、
全部、無意識に整えてる。

誰に見られているわけでもないのに、
乱れた自分を見せたくない。

これは私の癖だ。

綺麗に取り繕うとする私の癖。

もう二度と相手に期待しないように、

もう二度と真面目な人が馬鹿を見ることなんかなくなるように。