地獄で私と二人きり

「アイツ、どういうつもりで学校来たんだろうなーw」

「ほんっと生意気ー」

 学校に近ずくにつれ増えていく言葉は、私に向けられた言葉なのだろうか。

 理沙の記憶を必死に探っていると、一つのことを思い出した。

 あの愚図たちか、と何人かの顔が浮かんだ。

 人工的に染められた髪色が、目立っているうるさい人たちの集団で、一応、元仲間。

「きゃー、怖いっ」

 学校の正門をと通り抜けようと歩いていると、甲高い声が聞こえ、耳がキーンとする。

「みんな~、りりを守ってえ~」

 猫なで声でわざとらしく涙目で上目遣いをする女は、桃沢 莉理(ももさわりり)

 ピンク色とか…、受験生の髪色じゃない。絶対。

 この人のせいで、私は見ず知らずの人たちに、嫌な言葉を投げかけられる。

「なんで来てんだよ、お前」

 このナイト気取りの男は、北川康正(きたがわ こうせい)

 この人の髪色も…真っ赤だ…

「異端者が、神聖なる正門に入ってくるなんてな。」

 気取ったメガネの男は、南谷優吾(みなみやゆうご)

 眼鏡なのに、理沙より頭が悪いし、心も狭い。

 差別するとか…ダサすぎない?

 いつも、これが始まると黙ってしまう理沙の代わりに、私が言い返すことにしよう。

「特待生ですから、勉強しなくてはいけませんの」

 私は、貴方達みたいに暇じゃないの。

 こんな人たちのために、休む価値なんてない。

 私が言い返すとは思っていなかったのか、ここにいる全員が口をポカーンと開けていた。

 おもしろいな~、理沙ちゃんの気持ちも伝わったかな。

「たかがモブの地味子が、調子乗っているんじゃないわよ!」

「異端者が!、謝りなさいよ、りりちゃんに!!」

 取り巻きが、ギャーギャーうるさい。

 そもそも、話を鵜呑みなんてするものじゃないのにね。

 そこまでできるなんて、ある意味才能だよ。

 私は、うるさい人たちを放って学校に入っていった。

 誰もいないことを確認した後にトイレの個室の中に入り、バックから鏡を取り出す。

「モブの地味子になるための努力が分からない、救いようないモブには黙ってほしいな~」

 私、理沙の容姿は、前世と同じく黒色の髪に灰色の瞳。

 けれど、そばかすが消えていた。

 私のコンプレックスがなくなって、うつむいていた私は前を見るようになっていた。

 すると、私の顔は世間一般でいう、可愛い顔だちなようで男には囲まれ、女子には睨まれるという最悪な状況だった。

 そこで、地味になるように、おおきな眼鏡をつけておさげをして、地味なメイクの練習をした。

 …もちろん、可愛くなるための努力も欠かさなかった。
 
 無意識に、アレンの隣にいても大丈夫なように、また好かれるための努力をしていたみたい。

 顔熱いな。本当、早く会いたい。