地獄で私と二人きり

 俺は気がつくと、白色の世界にいた。

 そして、目の前には1人の女性が立っていた。

「久しぶり、アレン君。」 

 女性はふわりと微笑み、俺の言葉を待っている。

 この女性には、見覚えがあった。

 昔、俺が理沙を魔獣から守るために、力が欲しいと強く願った。

 すると、女神が現れ、俺に力を与えてくれた。

 女神が与えた力は勇者の力で、ソレは世界を救うためのものだった。

 まぁ、最終的にその力で俺は、一つの国を滅ぼしかけたのだが…

「後悔はしていませんが、すみませんでした。」

 俺の大事な人はリタだけ。他の人はどうでもいい。

 ソレが本音だが、女神のおかげで俺は勇者の力を手に入れ、魔獣からリタを守ることができた。

 守る力を壊す力にしてしまったのは、紛れもない事実だから。

「いえ、私こそごめんなさい。リタさんは私に熱心に仕え、周りの人にも思いやれる素晴らしい人でしたのに…」

 リタは、俺といることで色々反感をかう事があったが、神罰のような裁かれ方をされている者もいた。

 リタは、女神からも一目置かれていたのだ。

「あなたは人を殺しましたが、ソレは私にも責任があります。」

 女神は先程の態度から一変し、堂々と話し出す。

「なので、貴方には使命を与えます。」

 そして、話された。

 俺の罪の償いの仕方や、次期神となる方の話、そして、使命を果たすのために必要となる協力者の話。

 俺が最初にやるべきことを含めて、全て。 

 ある程度話した後、女神から一つの質問をした。

「貴方の願いを、一つだけ何でも叶えて差し上げます。」

 この願いを使って、使命をほっぽり出して死ぬのもいいだろう。

 けれど、俺はそれよりも叶えたいことがある。

「リタともう一度、一緒に生きたい」

 リタも望んでくれるなら、今度こそ家族に…

「…分かりました。リタさんに話しておきますね。」

 そこで話が終わり、俺は気づいたら知らないベッドの家にいた。

 俺の現世の名前は、中崎蓮斗。

 気付いたら、中学2年生くらいの年齢で、使命を果たすために動き出した。

 協力者の東村さんと会いに行き、協力者を探すために暴走族を立ち上げた。

 仕切るのら苦手なので、東村さんに紹介してもらった伊乱木先輩に総長を任せた。

 俺は副総長として、まず自分の住む街の不良をまとめ上げ、情報収集をし、サポート役としての役回りをした。

 これらを、2年かけてやり遂げた。

 けれど、リタは見つからなかった。

 その間にピンク髪の女を姫にしようとか言う馬鹿なことを言う連中が出てきたが、幹部とはいえ俺と先輩には敵わない。

 最悪、脱退しても問題はないので、強めに断りを入れた。

 姫にするなら、リタがいい…

 いやでも、うちの暴走族「百鬼」は男の巣窟だし、「百姫(モモヒメ)」は百鬼が守る者で、百鬼の総長である先輩の彼女として見られる。

 無理だ、事実が違くても耐えられない。

 リタにはさせられない…

 それくらいなら、俺が百鬼を抜ける…

 そんな事を考えながら、先輩に呼び出されたバーに向かっていると、女にぶつかった。

「ごめんなさい!」

「いえ…こっちこそ」

 普段なら、「最悪」という2文字がすぐに頭に浮かぶのに、今日はどこか懐かしく感じた。

 そう、まるでリタみたいな…優しい香りがする。

 俺がそんな事を考えていると、女は顔を上げていて、俺を見て、驚いていた。

 何を驚いているんだろうと覗き込むと、俺が心の底から会うことを待ち望んでいた彼女がいた。