地獄で私と二人きり

「まず、綿矢ちゃんの力のことなんだけど…」

 …やっぱり、一般的な異端者の力とは違うのか。

 まぁ、見習いとはいえ次期神様のサポート役の力が、「一般的」な訳ないか。

 そもそも、私からの条件でもあったわけだし。

「君の前世は、シスターだったよね?」

 私は伊乱木さんの質問に、「はい」と答える。

 …何で知っているかは分からないけど、タイミング的にも、私と蓮斗の前世を知っているよね。

 東村さんと伊乱木さんも、訳ありかな?

 まぁ、人を殺した勇者とその恋人のシスターがいるのだし、何を言われても驚かない気がする。

「その影響があってか、堕天使の力を持っている。」

 …これは、前世の話を知っていないと分かりにくい。

 前世では、女神様に生涯を捧げたシスターは、死んだら天使になると聞いたことがある。

 私も、死ぬまで女神様に仕えたから、元々は天使になるはずなんだけど、アレンについていくことを決意して、堕天使となった。

 ちなみに、何でアレンについていくことで堕天使となるのかというと、アレンは神聖なる勇者だったけど、人を殺したことで、その身は汚れてしまった。

 天使は汚れを嫌う。けれど、私は天使であることより、アレンといることを選んだ。

 だから、私は天使から堕天使となり、堕天使の力も使えるようになった、んだと思う。

「それと、何故か天使の力も持っている。」

 …それは、本当に分からない。

 あえて言うなら、女神様からの恩情…?

 とてもありがたいけど…

「天使の力って何ができるんだ?」

 蓮斗からの質問に伊乱木さんが答える。

「言霊みたいなものだよ。願うと、それが10秒だけ実現する。」

 …それってほとんどチートなのでは?

 自分で言っておいて、伊乱木さんもドン引きているけど…

「…それって、綿矢さんを敵に回したらマズイのでは…?」

  …東村さん、当人の私も思いました。

「当たり前だ。俺の理沙は凄いし、可愛い。」

 …恥ずかしいからやめてよ!蓮斗!

 しかも、抱き寄せてきて、バックハグの状態だし…

 顔熱い!東村さんと伊乱木さんもいるんだよ!

 心臓に悪いからやめてぇ…

「まぁ、蓮斗も規格外だけどな。」

 苦笑いをしながら、伊乱木さんは蓮斗に目を向ける。

「蓮斗って、どんな能力なの?」

 私が、蓮斗に顔を向ける。

 いわゆる、上目遣いの状態。

「勇者の力が強化されてる」

 …うん、相変わらずだね!

 そうだよね、一つの国が壊れるギリギリだったらしいもんね!

 下手したら、国どころじゃなかったらしいしね!

 それは、勇者の力のはずなんだけどね!

 強化されたら、どうなるんだろうね!

 まぁ、そんな力を持ちながらも、私を一途に愛してくれるのは、嬉しいんだけど…

 蓮斗は、大きな力を持っているから、私がストッパーになって、助けられるようにしなくちゃね!

「やっぱり、理沙のこと好き。一生大事にする…」

「何か言った?」

 私が色々考えていると、何かを蓮斗が呟いた。

 私には聞こえなかったんだけど、伊乱木さんはあんぐり口を開けていて、東村さんは宇宙人を見るような目で、蓮斗を見ていた。